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久々の続きです。完成へのモチベーションの維持のために、ちょこちょこ書いていきます。
彌眞は先程の勇ましさとは正反対の十六夜の姿を見て、驚くとともに少女らしい一面もあるのかと安心した。
女王は十六夜の肩をぽんと優しく叩き、ゆっくり立ち上がり柏手を打ち巫女を呼んだ。
「彌眞殿、しばらく時間をくれぬか」
女王の表情には有無を言わさぬ威厳があった。
彌眞はその勢いにおされて頷いた。
部屋から退出する二人をだまって見送った。
「おかあさまどうしたの」
足早に歩く女王に十六夜は不安を覚えた。
女王はただ黙々と歩く。そのただならぬ様子に付き従う巫女達も心配そうに親子の背を見つめる。
「おかあさま!」
十六夜は叫び止まった。
女王は立ち止まる。十六夜の髪を優しくなで、彼女の手を強く握る。それから手を引き駆けだした。十六夜も巫女も尋常ならない女王の様子に、あとは黙ってついていくだけだった。