28
二人は無言のまま居館を出た。
陽は真上に上がっていて、日差しが眩しく照らしだしている。二人は目を細めた。
丘の下にある集落からは、活気溢れる人の声がして賑わっている。
並んで環濠にかけてある橋を越えると、お互いに見つめ合う。
何か釈然としないものを王蘇邑に感じたのだ。
歩きながら、彌眞が話し出す。
「何かおかしい」
十六夜は頷く。
「急に変わった王の目つき・・・恐ろしかった」
彼女は呟き、彼もまた頷いた。
「確かに。でも今は」
「待つしかないのですか」
「そうするしか・・・ないでしょう」
二人は今の置かれている状況に黙り込む。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
沈黙の中、十六夜は決意を固め、両手を大きく広げる。
「彌眞!私達で鏡片の在り処を探しましょう」
彌眞は驚いて立ち止まった。
「・・・しかし、勝手に動く訳にはいかないでしょう」
「このままでは、先に進めません」
彌眞は十六夜の言葉に唸ると、腕を組み思案するが、表情は冴えない。
「私達は、ここでじっとしている訳にはいかないのですよ」
彼女は彼に訴えた。
「彌眞!」
彼はゆっくり首を振る。
「ここは、もうしばらく待ちましょう」
と、躊躇いがちに言う。
十六夜はその煮え切れない態度に苛立ちを覚える。
「何故」
と、くってかかった。
彌眞は無言のまま、もう一度首を振った。
彼の表情に十六夜は躊躇いと怯えを感じた。
彼女はその表情に眉をひそめた。
「・・・」
十六夜はやりきれなさを感じ、小さく息を吐く。
彌眞も彼女が自分に失望していると感じたが何も言わず、互いがまた黙り込む。
二人は、また歩きだす。
ほどなくして、十六夜は歩調を強めて、彌眞を追い抜くと、すぐに振り返り彼と向き合った。じっと瞳を見つめる。互いの視線が交錯する。




