表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/108

28

 二人は無言のまま居館を出た。

 陽は真上に上がっていて、日差しが眩しく照らしだしている。二人は目を細めた。

 丘の下にある集落からは、活気溢れる人の声がして賑わっている。

 並んで環濠にかけてある橋を越えると、お互いに見つめ合う。

 何か釈然としないものを王蘇邑に感じたのだ。


 歩きながら、彌眞が話し出す。

「何かおかしい」

 十六夜は頷く。

「急に変わった王の目つき・・・恐ろしかった」

 彼女は呟き、彼もまた頷いた。

「確かに。でも今は」

「待つしかないのですか」

「そうするしか・・・ないでしょう」

 二人は今の置かれている状況に黙り込む。


「・・・・・・」

「・・・・・・」

 沈黙の中、十六夜は決意を固め、両手を大きく広げる。

「彌眞!私達で鏡片の在り処を探しましょう」

 彌眞は驚いて立ち止まった。

「・・・しかし、勝手に動く訳にはいかないでしょう」


「このままでは、先に進めません」

 彌眞は十六夜の言葉に唸ると、腕を組み思案するが、表情は冴えない。

「私達は、ここでじっとしている訳にはいかないのですよ」

 彼女は彼に訴えた。

「彌眞!」

 彼はゆっくり首を振る。


「ここは、もうしばらく待ちましょう」

 と、躊躇いがちに言う。

 十六夜はその煮え切れない態度に苛立ちを覚える。

「何故」

 と、くってかかった。


 彌眞は無言のまま、もう一度首を振った。

 彼の表情に十六夜は躊躇いと怯えを感じた。

 彼女はその表情に眉をひそめた。


「・・・」

 十六夜はやりきれなさを感じ、小さく息を吐く。

 彌眞も彼女が自分に失望していると感じたが何も言わず、互いがまた黙り込む。

 二人は、また歩きだす。


 ほどなくして、十六夜は歩調を強めて、彌眞を追い抜くと、すぐに振り返り彼と向き合った。じっと瞳を見つめる。互いの視線が交錯する。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ