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刹那の風

神殿の内部は彌眞が森の中を歩いていた時のような、不思議な安堵感に包まれていた。炎の灯りがうっすらと部屋を照らしだす。

 彌眞は部屋の中央に対峙する中年の域に達するであろう女王と無言のまま対峙している。十六夜はその横にちょこんと座り、二人の様子をうかがっている。

 長き沈黙が続き、互いが焦れはじめた頃合いに女王はようやく重い口を開いた。

「では、卑弥呼様の予言によりこのクニ一番の巫女を邪馬台国に呼ぶと・・・」

「はい」

「邪馬台国はこの小さなクニの巫女の力が必要だと」

「仰せの通り」

「その話・・・真だろうな」

「はい」

 彌眞はそう言うと肌身離さず持った袋から、輝く青銅鏡の一片を取り出した。一礼をして恭しく女王の前に置いた。女王はそれを見て、すべてを悟った。

「・・・わかった」

 女王はまぶしそうに鏡を見つめると、ふいに顔を反らし溜息をつく。そして手招きをして隣の十六夜を呼ぶ。彼女は嬉しそうに女王のふくよかな胸に顔をうずめる。女王は十六夜の美しくしなやかで長い髪を愛おしそうに撫でた。

 

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