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彌眞は地面に落ちている木の枝や、枯れ草を集めると手早く火おこしで火をつける。うまく、草木に引火した火は赤々と燃え上がり、二人の姿と周りを照らしだす。
彼はしばらく火を見守っていたが、勢いが安定したところで、十六夜と焚火を隔てて向かい合い座った。
「何だか、わくわくしますね」
燃え盛る炎を見ながら、彼女は呟いた。
「・・・・・・」
彌眞は何が楽しいんだろうと思ったが、自分も知らない内にそういう感情があるのに気づき頷いた。
十六夜は微笑むと、袋の中からムラでいただいた胡桃や椎の実を取り出して、石で割り
取り分ける。
彼はその様子を見ながら、木弓を取り出して、先端に石製の弓削を付け、弓を立てるとその片側を両足で押さえ、弓をしならせ弦をはる。
そして自分の側に弓と矢の入った矢筒を置く。
「それは」
「いつ何時、襲われるかもしれませんから」
と、十六夜の胸元に光る鏡片を指さした。
「あっ」
十六夜は思い出したように呟いた。
彌眞は小さく笑うと、彼女から手渡された胡桃の実を頬張って食べる。
十六夜は胸元から鏡片を外すと、じっと見つめた。
これまでの道のりで鏡片はその効力を十分に発揮してくれた。
邪馬台国の息のかかるクニやムラ、集落に立ち寄った時にはこの鏡片を眩しそうに見つめ、人々が手厚いもてなしをしてくれる。
十六夜はその鏡の効力に驚いている。が、よくよく考えてみるとその力を欲しいものがいるのではないか、鏡片を偉そうに自分が胸からぶら下げていてもいいのかと思った。




