18 五、長い夜
五、長い夜
まわりの空が、赤みがかった夕焼けの色から、紫へそして薄暗くなっていく。
十六夜のクニから出立して、5日が経っていた。
道中、クニやムラ、集落に立ち寄るなどして野宿を避けてきたが、どうやら今日はそうはいかないようだ。
十六夜は今回が初めての旅だが、彌眞はここに至るまで何度も野宿をしてきている。
「十六夜、戻りましょうか」
彼女は首を振って嫌がった。
二人は旅をはじめた翌日に、十六夜の提案で互いを呼び捨てにすることを決めた。
初め彌眞は猛烈に反対したが、十六夜が女王命令でと達した。
女王は嫌だって言っているのに矛盾しているなぁと思いつつ、彼は渋々承諾した。
「今なら、さっき立ち寄ったムラに戻れますよ」
彌眞は念を押す。
「急がないと」
十六夜は暗闇の道を見つめ言う。
彌眞も思いは同じだ。だが、
「十六夜、野宿をしたことありますか?」
「いいえ」
「怖くないですか」
「大丈夫。一人じゃないから」
彌眞は彼女の言葉に、いじらしさと嬉しさを感じる。
「よしっ!」
彌眞は気合を入れる。
「どうしたのですか」
十六夜は笑っている。
「いや、ははは」
と、彌眞も笑って誤魔化す。
二人はしばらく歩き続けたが、闇が徐々に濃くなり、辺りの景色をかき消していく。
彌眞は観念して、野宿するのに都合のいい場所を探し出すと、荷物の入った袋を降ろし、周りを見渡した。
「ここで休みましょう」
十六夜は頷くと、その場に腰をおろした。




