16 四、旅立ち
四、旅立ち
翌日の明朝、太陽がうっすらと山々の間からのぞく頃、空一面に紅の景色が映し出されていた。
彌眞と十六夜は、母と巫女達の温かい見送りを受けて旅立った。
二人はクニの集落には戻らず、森の裏道を選んでクニを出ることにした。
十六夜は彌眞と並んで歩いていたが、森に入るとすぐに心配そうに顔を覗き込んだ。
「本当にいいのですか、彌眞殿」
彌眞は微笑み、
「何がですか?十六夜様」
「本当にいいのですか?」
十六夜は念を押す。
「ですから何が」
彌眞は少し怒った口調で言い返す。十六夜はその剣幕におされ、しばらく黙っている。
が、我慢出来ない。
「いいんですか」
「いいんですよ。もう」
観念したかのように、彌眞は言った。
彌眞は伊都国から一緒に旅をしてきた仲間を置いてきたのだった。出立前に、前女王に頼み伊都国に戻るように伝えて欲しいとお願いした。隣で聞いていた十六夜は、仲間も一緒に行くべきだと言ったが、彌眞は頑なに聞かなかった。
彼女はその事が気がかりで、ずっと言い続けているのであった。
「十六夜様」
「はい」
「私はクニを離れる際、王に成すことが決まったら、自分で道を切り開けと言われました」
太陽が山裾からでて、空の色が青に変わる。彌眞は空を見上げ、
「今が、その時と確信しました。だから仲間と別れる決心をしたんです」
「でも、みなさんに一言でも」
「みんなに会ったら決心がぐらつきそうで・・・辛いんです」
十六夜は彌眞の真意が分かった。
「いい、皆さんだったのですね」
「ええ」
彌眞は素直に頷き、真っすぐ先を見つめる。
「さぁ、行きましょう」
二人は共に歩きだす。




