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「おのれ!」
顔に怒張をみなぎらせて、彌眞を睨みつけた蘇邑は、すぐ立ち上がると、右足を思いきり蹴って十六夜を振り切る。
彼女は床に叩きつけられる。
蘇邑は矛を彌眞目掛けて一閃する。
十六夜が祈る。
すると、見えない壁が彌眞を守る。
壁を崩そうと、蘇邑は何度も矛で突き、叩きつけるが、十六夜の思いが、壁の強度を強固なものとする。
「くそがっ!」
蘇邑は歯ぎしりをし、強烈な一撃を壁に放つ。
左腕一本の攻撃では如何ともしがたく、王は鉄矛を落としてしまう。
彌眞は体当たりをし、蘇邑を倒すと、馬乗りになって蘇邑の顔面に何発も拳を叩きつけた。
「くそっ、くそっ!」
彌眞は殴り続けている最中に涙が溢れだした。
「・・・・・・」
蘇邑は、黙ったまま彌眞に殴られている。
「うぉーっ!」
彌眞は雄叫びをあげると、力を振り絞り右の拳を叩きつける。
蘇邑はしばらく彼の拳の余韻を感じていた。
「少しは、分かってきたようだな」
と、言い、薄ら笑いを浮かべる。
「だが、まだまだ・・・だ!」
蘇邑はかっと大きく目を見開くと、彌眞の首を左手で掴み握りしめる。
「これが、本当の苦しみを背負う者の強さだ」
蘇邑の身体から紅蓮の炎が噴出する。
彌眞は王の強烈な締めあげに、意識が朦朧となりながらも、溢れる涙が止まらない。
彼の鏡が共鳴し、身体から光が放つ。




