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うさみすぴんなうとAW  作者: ほすてふ
目からビーム編
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目からビーム初心者 4

 村跡から伸びた細道が大きな道にぶつかる交差点。

 どちらに行くのか迷う私。


 迷いついでに休憩を取ることにした。

 考えてみれば今日は歩き詰めである。

 それに、休んでいれば誰かが通るかもしれない。

 その人にどちらに行くのがいいか判断するための情報を聞くことができればいい。


 名案である。私ってば天才か。


 そうして私は、交差点の角の所にあった石柱の横に荷物を降ろし、腰も下ろして背を預けた。


 しかしここで誤算が起きる。

 思いのほか疲れていたのか、すやすやと眠ってしまったのである。

 これでは誰かが通りがかってもわからない。

 しかしこの時の私はすでに眠りの世界に入っていたのでどうしようもなかった。





 ごそごそと音が聞こえた。

 目を開けると髭の生えた中年男性の顔が目の前にあった。


「むぐっ!?」


 思わず悲鳴を上げると、口に何かをかまされているようで、まともな声が出ない。

 気にしてみると口から頬、後頭部に向けて締め付けられている感じがする。

 布を噛ませたうえで括り付けているのだろうと思われる。


 ついでに言えば、手も後ろに回されて拘束されており足は拘束されていないが、服をまくり上げられており、両足の間に髭中年の足が入れられていた。


「チッ、目を覚ましやがったか」


 髭中年が吐き捨てるように言う。

 私は事情を理解した。


 今、私は、この髭中年に襲われているのである。

 性的な意味で。


「むぐっ! むぐぐぅ!?」


 いや、離して!

 と言おうとしたがくぐもった音が漏れるばかり。

 しかも私の反応が中年男性の嗜虐心を刺激してしまったようで、にちゃあと気持ち悪い笑顔を浮かべさせることになる。


「ククク、いい反応するじゃねえの。肉付きもいいし、なぶったらさぞかし楽しそ……うわ、こら、暴れるな!」


 中年男性が舌なめずりするのを見た私はむぐぅむぐぅと叫びながら暴れようとした。

 手は拘束されているので身をよじりながら自由になる足でゲシゲシと……と思ったが、すぐに太ももに体重をかけられて動けなくなる。


「へっへっへ、いいか。お前は、俺に、これから、犯されるんだ」


 ニタニタ笑いながらそんなことを宣告してくる中年男。


 気持ち悪い怖い助けて。


「ざぁーんねん、近くにゃ誰もいねえよ。助けはこねぇ。クククッ。それじゃあ早速、そのでっかいおっぱいを……」


 中年男は私が必死で抵抗するのを楽しんでいるらしく、私の動きを巧みに封じ込めながら、気持ち悪く恐ろしい言葉を投げかけてくる。


 動きは封じられ助けも来ない。

 もはやこれまで?

 いいえ、最後まであきらめてなるものか。

 少しでも抵抗してやる!


「むぐぅーーーーーーーーーーむぐむぐぐっ!?」


 きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁうおまぶしっ!?

 と叫んだつもりだったが声が出せずくぐもった音しか出ない。

 その上途中で変質した。


 なぜかというと、急に視界が眩しくなったからだ。


 同時に私に掛けられていた中年男性の体重も消えたがこの時の私は気が付かず。

 抵抗しようと身をよじり足を動かそうとしていたため、その場でぐるんと回転した。

 しかし私はなぜ自分が回転したのか理解できず眩しく混乱してむぐぅむぐぅと体を動かし続けた。


 そのうち手の拘束が緩んで解放される。

 すぐに口にかまされた布に手をかけ、思い切り引っ張ると簡単に取れる。暴れている間にほどけかけていたらしい。


「ぷはっ!」


 思い切り息を吸い込む。

 新鮮な空気が

 その結果、少し頭が冷静になる。


 少し落ち着いてみると、この眩しさには覚えがあった。

 初めて目を覚ました時のあれだ。

 あの時は止まれ止まれと念じると止まったのだったっけ。


 私は止まってくれぇ、眩しい! と念じた。


 すると眩しいのがなくなった。


 やった!

 心の中で喝采をあげながら、周りを見回そうとする。

 解放された私を髭中年が再び捕まえようとしてくるかもしれない。

 しかし眩しさの後遺症でほとんど見えない目ではわからない。

 それでもとにかく立ち上がって逃げようと思い手をつくと、覚えのある手触りの物体があった。


 赤い革の背負い鞄。多分。


 これは幸運と思い、鞄をひっつかんで移動しようとしてつんのめった。

 鞄の上に何かが置いてあったらしく、思っていたより重かったのだ。

 あせる私はどうしようか一瞬迷った後、上にあったものごと抱えていくことにした。


 あとにして思えば荷物を増やせば足が重くなり捕まる可能性が高まると考えられたのだろうけれど、この時の私は、鞄を見つけたということに意識を取られていたために手を離せなかったのだろう。


 とにもかくにも、私は逃げ出すために必死で目を凝らして障害物がないほうへと走り出した。

 何度も転びかけたが目が見えるようになるまでどうにか持ちこたえ、力の限りかけ続けたのだった。

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