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うさみすぴんなうとAW  作者: ほすてふ
目からビーム編
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目からビーム初心者 3

 てくてくてくてく。道を歩く。

 緩やかな下り坂を降りていく。


 歩きながら考え事をする。


 目覚めたときに居た男性のことだ。


 あの男性は私を裸にして寝台に寝かせていた。

 口にしていた言葉。成功、確認、俺は天才。目からビームを出してみろ。フゥハハハクックック。


 目からビーム子という私の名前が「闇を切り裂くきらめく瞳を持った女の子」という意味であるとするならば、「目からビームを出してみろ」というのは「闇を切り裂くきらめく瞳を持っているだろう出してみろ」ということだろうか。


 だとすれば、目を見せてくれという要求?


 そして成功、そして確認という言葉。

 何に成功したことを確認しようとしていたのか。

 それは天才でなければ成しえないようなことなのだろうと考えられる。


「……つまり私の目を闇を切り裂くきらめく瞳に改造した?」


 そう考えれば、あの男性の指示のあと、眩しい思いをした意味が分かる。

 きっと私の目はキラキラときらめくのだ。

 そしてその明るさは自分自身すら眩ませるのだ。



 なんて……迷惑……!



 想像だが、闇を切り裂くということは、暗い場所でも見えるようにしようとしたのではないだろうか。

 そういう種族の存在が私の知識にはあった。


 その手段として光がきらめくようにしたに違いない。

 あの男性の確信をもった成功という言葉から、きっとあの男性の狙い通りに改造は成功したのだ。

 でも。


 結果として眩しくて見えなかったら意味がない。


 きっとあの男性は残念な人なのだろうと私は判断した。

 もしそうでなかったら、記憶を失う前の私が提案した可能性が出てくる。

 それはおまぬけで嫌なのでそういうことにした。


 あの男性のことをまとめると、私を裸にした、私の目を改造した、そしていなくなった。

 あと言動から見るに性格が悪そう。

 ここまでは確からしいと言えるだろう。私にしては頑張って考えたものだと思う。




 さて、あの男性は村人同様いなくなった。

 同じ部屋にいた私は無事なのにもかかわらずである。

 部屋が部屋だったものになっている以上、そういう分け方には意味がないということだろうか。


 私が眩しくて何も見えない間に部屋が、屋敷が、村が滅んでいた。

 となると。


 見たら消えてしまう魔物という説はどうだろうか。

 これなら私が無事だった説明がつく。

 建物がなくなっている説明がつかない。

 ううん。難しい。


「まあいいわ。この件は置いておきましょう」


 私は目の前の何もない空間に何かがあるように見立てて、それ手で持って横に動かす動きをした。

 すると今まで考えていたことが切り替えられる。


 やってから気付いたが、ごく自然に体が動いた。

 きっと記憶を失う前の私がよくやっていた動作なのだろう。


 考えても仕方がないことは置いておいて次のことを考える。

 素晴らしい。効率的。

 私は結構すごいのでは。





 自画自賛しながら特に建設的なことを考えるでもなく歩いていると、景色が変わってくる。

 村跡の周辺は切り株が多かったのだが、今では切り株はたまに見かける程度になり、道は木々の間を蛇行するように伸びていた。


 さらにしばらく歩くと、大きな道に行き当たった。

 今までの道が荷車がどうにか通れる道。

 新しい道は、馬車が余裕をもってすれ違える道。


 つまりこれは交通量が多いのだろう。

 この道に沿って行けば人里どころか、街にたどり着けるのでは。

 そう思わせる立派な道であった。


「問題はどちらに向かうか、ですか」


 歩いていた細道が大きな道に突っ込んだ形。

 つまり行くべき方角はふたつ。


 右か……左か。


「これは難問……!」


 私は唸り、足を止めた。

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