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うさみすぴんなうとAW  作者: ほすてふ
皇帝編

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皇帝初心者とうさみ 19

 突如現れた満月が、暫時を置いて消え去った後の、月の海。

 うさみの最初の拠点で、ウサギさんズが銀色のイチゴを食べていた。


「へー、大繁殖したら赤くなって帝国にも生えてくるんだ」


 うさみはその様子を見守りながら、月面帝国ルナパラウサの情報を聞き出していた。

 目的はもちろん月面帝国との和解である。


 うさみ捜索に危険地帯へと精鋭部隊を投入してきており、その目的は救助だというところまでは把握していたため、悪いようにはならないだろうとは思っていた。

 しかし、まあそのばつが悪いというか申し訳ないというか。

 なにかこうね。お詫び的なサムシングを用意できればうさみの罪悪感が薄まるかなあみたいな。ね。


 その結果この月イチゴについて詳しくなった。

 たまにしか食べられないごちそうなのだそうな。

 さらには銀色の状態で食べられることはまずなく、違った味わいがあってどちらもおいしいのだと。


 ぷ。『でもこのあいだの虹色ニンジンが至高だったよね』


 ぷ。『それな』『わかる』『キャベツこそ究極……』


 そして地上から持ち込んだお土産が好評だったということもわかった。


「んーでも地上にお土産取りに帰るには月面帝国通るしかないわけで」


 わかったけれども。順序が逆である。


 月面にばらまかれた野菜を取ってきて栽培する?

 いやいや。どれだけ時間がかかるのか。土から作って十年単位の仕事である。

 地上と月面は環境も違うので試行錯誤が必要だ。

 魔法でごまかすことはできるが、結果できる野菜の味は嘘をつかない。うさみの腕の問題かもしれないが。


 じゃあまあイチゴかなあ。たくさん集めて……。


 とそこまで考えて、そのイチゴを食べているウサギさんたちを見る。

 こうしていると地上を思い出すなあと思いながら。


「あ、そうだ」


 よく考えたら、月にくるのは目的があったのだ。お餅以外にも。

 それを忘れていた。

 それほど急ぎではないので。

 百年やそこらならスレても大丈夫……のはずだから、重要度はお餅に劣るのだ。


「ねえねえ、ちょっとレベル上げして帰らない?」


 思い立ったが吉日。

 うさみはウサギさんたちに提案したのだった。








 例えば精鋭部隊がさらに有能になったら国にとって大きな利益になるだろう。

 さらに誰もが精鋭部隊並みの能力を得る方法があったら?


 そんな都合のいい方法があるのかというと、ある。

 効果は保証済みだ。

 他生で同じようにやって同じように成功しているのだもの。


 そんなわけで数日かけてウサギさんたちを鍛える鬼ごっこを開催した。


 【満月結界】を再度展開し、ウサギさんの持つ“ウサギ”の属性を利用して逃げることで成長する能力を付与する。

 さらに昔読んだ漫画を参考にして作り出し、うさみも日常的に使っている鍛錬魔法、【高重力下訓練の魔法】をウサギさんにかける。

 なれないところにあまり積みすぎてもいけないのでウサギさんに掛ける負荷はそれくらい。


 そして鬼ごっこの鬼役に抜擢したのはウサギさんの跳躍ライバルの月のカエルだ。

 身体能力を強化する魔法をかけて強敵度を徐々にアップする。


 もちろん本当に捕まり命にかかわりそうにならうさみが助ける。

 もちろん余裕が出てきたらハンデを重くする。


 この繰り返しであまり危険にさらされずにレベルを上げることができるのだ。


 そしてひとりでも高レベルになれば、その子が鬼役を務めることで他のウサギさんを鍛えることができるのだ。


 ウサギさんをはじめとした、逃げることに命を懸けている種族が可能な、特別なレベルアップ法である。





 なおカエルには報酬もなしでお付き合いいただいた。ごめんね。

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