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うさみすぴんなうとAW  作者: ほすてふ
皇帝編

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皇帝初心者とうさみ 7

 うさみは全身やけどで致命傷を負った。

 【気合い】でこらえた。


 命を脅かされたうさみはスキルの使い方を再現した(・・・・)


 神話に曰く、スキルは過去の英雄の力を再現するものである。

 これが正しいならば最初に編み出した人がいるということだ。

 スキルは不思議な力だが、最初の一歩はいつかの誰かが成したものである。

 それならば、やり方を知っていれば再現することも可能ということ。

 地球であればそんなの物理的に無理ー、というようなことでも、この世界の法則では許容されるものもあるのだ。

 例えば二段ジャンプとか。

 例えば死ぬところを気合いで耐えるとか。


 ついでに言えば、そうやって再現した場合、スキルとして身についてしまう(・・・・・・・・)

 とはいえ、通常ならば、スキルになるほどの行動を練習していればスキルを覚えてしまうので、あまり意味がないが。


 うさみは人生何度も繰り返しているだけあって、いろいろ(・・・・)なスキルを知っており、記憶さえしっかりしていれば再現できるものも多くある。

 忘れているものはもっとあるが。


 ともあれ、うさみは【気合い】というスキルを再現することで致死ダメージをやりすごした。

 これは言ってみればものすごく我慢するというだけのスキルで、死ぬまでの時間をちょっとだけ伸ばすことができる。

 ダメージがなくなるわけではない。

 依然ピンチは続いていた。


 どちらにしても魔法を使えないことにはどうしようもない。すでに全身ボロボロなのだ。

 うさみは全身どころか心までめっちゃ痛いのを我慢しながら最後の手段を使う覚悟を決めた。

 本当なら使いたくない。

 でも仕方ない。

 死ぬのは嫌だ。


 死ぬなら自宅の畳の上がいい。

 うさみの数少ないこだわりであった。


「【魔力変換】」


 うさみは言葉を発することができたかわからなかった。

 しかしそれでも問題なく、その行動は効果を発揮する。


 MPを生み出すスキルは結構あるが、今この瞬間にも死にそうな状況で十分な魔力量を確保できる手段はそう多くない。

 その一つがこの【魔力変換】である。

 手元にあるモノをMPに変換するというスキルだ。


 ただ、うさみは今ほとんどものを持っていない。

 バスケットは壊れて吹き飛んだ。

 野菜はまるで足りない。

 ほかに手の届くところにあるのは何か。


 お気に入りのワンピースだけである。。


 うさみが畑を作り肥料を作り種を植えて毎日育て虫を取り水をやり追肥をして品種改良してを繰り返し満足いくものになったところで収穫して糸を紡ぎ布を織り針を通して形ができたら錬金釜に投入して全力で動いても破れないように強化した品である。


 風合い良、吸水性良、速乾性良、伸縮性良、形状記憶、スカートの中身ガード性良といろいろとこだわって作った逸品だ。


 うさみはそれを【魔力変換】した。


 うさみがまとうワンピースが光の粒になって消滅する。

 そして引き換えに、うさみが今求めるものが手に入った。


「【宇宙ばりあーの魔法】」


 うさみみリボンと靴と膝まである靴下と。あとぱんつだけの姿になったうさみは、宇宙空間で活動するための魔法を使った。


 UV他有害な粒子・波動をカットし、空気がなくとも体内の活動が問題なく行えるようになる膜を体の表面に展開する。


 これだけでは瀕死状態は変わらない。

 しかし、悪化しないだけでも時間が稼げる。気合いだー。


 【たくさん入るバスケット】が破損してからここまで三秒。

 久しぶりに死ぬところだったと、うさみは胸を撫でおろそうとして腕が動かず、さらに体がめちゃくちゃ痛いのを思い出してまた死にかけた。






「【復元の魔法】」


 MP回復系のスキルを再現して手動で使いMPを確保。魔法を使って体の状態を月面に出る前の状態に復元する。


 ちょっとしたケガなどなら自然治癒か、せいぜい治癒力を強化するだけで待つところなのだが、今回はさすがに全身やけどである。

 どこか一か所とかならまだいいが、全身痛いし真っ黒になってしまう。

 普通の日焼けでも赤くなって痛いから注意しているというのに。


 月では回復できる魔法が限られているので、やむを得ず消費量が大きい復元の魔法を使わざるを得なかった。


「さて、これからどうしようかなあ」


 うさみは月の表面で放物線を描きながら腕を組もうとした。

 服の感触がなかった。


 胸元を見下ろす。

 つるんときれいな白い肌がぺたーんと広がっており、すとーんと視界良好だ。

 お風呂とかでよくみるやつ。


「ああああああああもーーーーーーーーーワンピースぅ」


 お気に入りを自らの手でMPにしてしまったことを思い出しうさみは嘆いた。

 さらになんだかマニアックな格好になってしまっていることにも嘆いた。


 改めて。

 うさみみリボンと靴と膝まである靴下と。あとぱんつだけの姿である。

 なんだこの。すっぽんぽんより恥ずかしい。いやぱんつはいてる分ましかなあ。


 うさみはちょっと悲しくなった。

 そして月の海に突っ込んだ。

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