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うさみすぴんなうとAW  作者: ほすてふ
召喚編

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使い魔?うさみのご主人様 3α せかんどこんぱにおん 3

『わたし帰ろうと思うんだけど。ベルちゃん連れて行かなくてもよさそう?』


 武装集団に囲まれている状況で【テレパシーできるようになる魔法】でベルエールと話そうとしたところ。

 ベルエールが思ったより強かな考えを持っていたのであ、これなら置いて行っても大丈夫かなと思い直した。

 問答無用で連れて逃げるのが一番楽なのだけれど、ベルエールはもともといた場所に残れる方がきっと幸せだろう。

 せっかく退学を免れたわけだし。


『え!? それなら連れて行ってよ!?』

『お母さんはいいの?』

『よくないからどうにかして』


 そうでもなかった。

 そして結構厚かましい。そういえばこんな感じだったなと、二千年くらい前の一年間を思い出した。


 流されやすく思い込みやすいが切り替えも早い。

 臨機応変といえば聞こえがいいけれど、まあ一長一短ある特徴だ。

 新しいことを教え込むにはまあまあ都合がいいが、自力で新しいものを生み出すのはあまり得意ではないタイプ。

 うさみとしてはちょっと親近感。

 それがメルエールのかつての評価で、ベルエールに対しても同様に印象を持っていた。そしてそれは間違っていないと思っている。


 しかし先ほどベルエールの意外にしたたかな一面を知ったわけだけれど、これはメルエールも持っていたのか、それとも。


 うさみが一度死んで、時間跳躍する前後で、同じ姿や同じ立場や同じ名前の人物に会うことがある。

 それは全く同じであったり、メルエールとベルエールのようにちょっと違ったりもする。

 そういった場合、うさみはつとめて別の人物として考えるようになっていた。

 同じ人物だと思って接して違うところを見つけると形容しがたい感情を抱いてしまう。

 さらにうさみが相手にどんな思いを抱いていても、相手はうさみのことを知らないのだ。

 記憶喪失ですらない。すべてなかったことなのだ。未来も過去も。

 うさみが出現した時間以降のことは、千年ごとにリセットされる。

 それはなかなかにつらく寂しいものだった。

 それも一度や二度ではなく、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も……。


 それなのに今、メルエールにこだわっているのはダブルスタンダードである。

 それはうさみも自覚しているが、それでも一度引っ掛かってしまうと納得いくところまでやらないと生きるのがつらくなる。

 うさみは死んでも死なない。

 そうすると生きるしかないわけで、では生きるのがつらいのはつまり全部つらいということだ。

 逃げ場なし。

 なので切り替えられるくらいまで感情を整理しないとやってられないのだ。


 だから、引っ掛からないように気を付けているのだけれど、一度感情移入してしまったのだから仕方がないのだ。

 うさみの心のキリがつくまではメルちゃん……ベルちゃんには付き合わせることになる。

 それはそれで申し訳ない気持ちがないではない。

 今回もさっそくやらかしてベルエールの人生を破壊してしまうことになったわけで。


 ごめんね。


 なんてことを考えつつ、ベルエールにエスパー魔法で、ごめんねもうしわけないっす、という感情を伝えながら、ついに仕掛けてきた武装集団を突破した。

 【眠る魔法】で半数を無力化して包囲に穴を作って走って逃げた。


 魔法をかけられた人たちは突然倒れたので、残った人たちは何が起きたかわからなかったろう。

 前身を覆う鎧とか服とかつけてるせいで、倒れた人がどうなっているかも、外見にはわからない。

 基本的に寝てるだけだけで、一人盾が変な風になって腕を脱臼したのと二人足をひねったのと四人打ち身ができたくらいなのだけれど、わからなければ確かめるだろうからそれで時間を稼げるかなという狙いである。


 しかし、それ以前だった。

 普通にびっくりして動きを止めていたのだ。

 馬鹿な耐魔術防壁を突破しただと、とか言っていた。

 こういう社会の裏で活動する粛清担当みたいな集団の割にはのんきだなあと思いつつ、うさみはベルエールの手を引いて走る。


 流石に動き出すと武装集団側も我に返り行動を再開。

 一部を残してうさみを追って駆けだした。

 その数は七名。

 すでに三分の一くらいに減っている。


「ちょっと、どこに向かうの?」

『口に出さなくても通じるよ?』


 ベルエールへテレパシーで言い返しながら、うさみは走った。

 向かう先はもともとの目的地方向だ。

 ベルエールとうさみを手紙で呼び出した相手が指定した場所。

 敷地内、校舎の奥にある迎賓館。その裏庭だ。

 あまり人目のないルートを選んで、回り道をしながらだ。


 逃げ切ろうと思えばすぐにでも相手の手の届かないところへ行けるのだけれど、ベルエールを連れていくことを決めた以上、学院や国に対してとりつくろう必要がなくなったので、そういう状況じゃないと手に入らないかもしれない情報をちょっと拾っておこうという考えだ。


 あの手紙の差出人と武装集団がつながっているかどうか。


 呼び出された場所へ向かう途中で囲まれたのだから繋がっていると考えるのが妥当ではあるが、呼び出された場所で囲まれたわけではないというのが気になったのだ。

 前のメルエールの最期。王様に歯向かった。

 あの子は自分からそういうことをする人間ではなかった。

 ならばその状況へ至る流れを作った者がいると考えるのが妥当。

 もちろん、時間で性格が変わったのかもしれないのだが。

 もし手紙の差出人が、うさみを消そうとする武装集団と別の勢力であるならば、メルエールを王様に反逆させた者と関係しているのではないか。


 ちょっと手間をかける価値はあるんじゃない?


 うさみはそう考えて当たりを引いた。



「こちらへ」



 逃げまわるうさみとメルエールに、建物の陰から声がかかったのだ。

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