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剣初心者うさみ 122

「道場主を継ぎたくない」


 シ家嫡男ケンがそんなことを言い出したので、家族会議が開かれた。

 本人に加え、家長ハン、奥様、嫡子でもあるジョウ、その婿としてバルディも参加が許された。


 そして。


「なぜだ?」

「義兄さんや姉さんの方が強いからだよ。道場は強いものが継ぐべきだ。違う?」

「ケンよ、それはお前がまだ若いからだ。これから修練を積めば」

「いや、義兄さんと姉さんの試合を覚えているんだ。あの頃の二人にもまるでかなう気がしない」


 それは、バルディが一か月の特訓を受けたことによる影響だった。

 ジョウに勝つための集中修練でバルディは年齢に比べて大きく強くなっていたのだ。

 そしてジョウとの試合でその実力を、ケンも見ていたのである。


「ケンちゃん、それはね、バルくんがあたしと結婚するために短期間で死ぬほどの修練を命懸けでやり遂げたからなのよ。その後はそれほど伸びてないから」

「うぐ」


 結婚後めざましい成長がなかったのはバルディとしても気にしていたところである。

 忙しかった、というのは言い訳にしかならない。

 一応十代で剣術大会本選出場という結果は出したし、基礎を重ねて地力は上がっているし、斬ることができる者の種類は増えているのだが。力を示す機会がなかったのは良くも悪くも、といったところか。


「それにしても、最近までそんなことは言っていなかったでしょう。心変わりしたのは何か理由があるのですか」


 バルディは話をそらした。

 しかしケンが答えを渋ったために、気まずさは加速した。


 そして判明したのが。


 ケンの弟妹分であるバルディの子どもたちに言われたそうだ。


「ケン兄よりとーちゃんやかーちゃんの方が強いのに、ケン兄が道場を継ぐの?」


 気まずさが加速した。

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