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うさみすぴんなうとAW  作者: ほすてふ
剣士編

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剣初心者うさみ 111

 来ちゃったですのはもちろんミーナである。


「人手があった方が思いまして。ですの」


 身に着けている侍女衣装の通り家事万能である。

 体格から猫系の中でも大型の種と判明した猫系獣人族の特徴、剣にもいかされている身体能力が高さと勘のよさに、ヤッテ家基準で一人前に仕込まれた家事技術。

 口調以外は欠点が少ない。その口調もなかなかの苦労をして一部を除いて修正済み。

 他に上げるなら表情の薄さから不愛想に見えることか。これも外向きの笑顔をそれなりに苦労して身に着けたので補えているだろう。

 直属になるという目標のためと、目標を失った後の努力の結果、ようやく一人前という歳にして一家の家政を一人で取り仕切るには十分な存在に仕上がっている。

 もしかするとバルディよりも、総合的には能力を秘めているかもしれない娘である。


「家の方と、梅組の修練は大丈夫なのか?」

「万事不都合はございませんですの。花嫁修業の一環として有給でお暇をいただけましたですの」

「は、花嫁修業? ずるい……というか、バルくんが普通にしゃべってるのもずるい」

「そういわれてもですね……」


 ミーナのことだから、ここにいる以上問題はないと思ってはいたが、その通りだったようだ。

 語尾で直属選抜に落ちた件からますます抜け目がなくなっている彼女はそういった信頼を寄せるに値する。


「それと、梅組は本業優先で出席の義務はないから大丈夫よ」

「花嫁修業が本業ですの」

「ぐぬぬ」


 おジョウさんとミーナの間の空気がビリビリと音を立てたかのように錯覚する時間はわずかで終わり、すぐに二人は笑みをかわし合う。


「ミーナが身の回りの世話をしてくれるなら助かるわ」

「お任せくださいませ」


 昨日今日と、バルディを限界まで追い込み、休憩中や一人でできる修練の間におジョウさんが家事を片付けるというぜいたくな環境だった。

 これが、ミーナが家事を請け負い、おジョウさんがバルディにつく時間が増えれば修練の効率が一段上がる。

 ミーナの手が空けば二対一の修練も可能になるだろう。


 バルディにとってあまりに都合のいい環境ができつつあった。

 おジョウさんとミーナ、一距両疾流とヤッテ家、そしてバルディ。感情と利害が一致したことの恩恵だ。

 こんな状況は、一生のうちでもそう多くはないだろう。

 言い方は悪いが、余さず活用しなければ申し訳が立たない。


 バルディはさらに気合いを入れなおした。

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