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剣初心者うさみ 93

 倒れるまで修練し、治癒促進スキルで回復を早めつつ多量の食事をとる。


 この流れを繰り返すことで飛躍的に鍛えることが可能である、という事実は一距両疾流では共有されている事実である。

 これができるのは当然だが治癒促進スキルの存在が大きい。

 同時に、食事の重要性もだ。

 治癒を急ぐだけでは筋肉が衰えるのだという。

 しっかりと食事をとらなければならない。なので必要な品目も研究されていた。


 おジョウさんが腰を据えて、さらにハン師範まで出張っての集中特訓。時間も多くはないとなれば。

 若葉組の頃は意図的に制限されていたため、一気に修練の厳しさと苦しさが増したことになる。


 だがそれも死ぬよりはずいぶんとマシだ。



 圧倒的な相手と対峙することは変わらずとも、修練は命を奪うためではなく、鍛えるためのものだ。

 殺す気でやるとか、死んだ方がマシなとか、そういった表現はある。

 だがそれが死に続ける(・・・)よりマシかというとバルディとしては否という判断であった。


 そして治癒促進では賄いきれない疲労を短時間の睡眠で癒してからまた食事ののちに今度は座学だ。

 半分は魔物について。

 もう半分は荘園の経営についてである。



「この役は息子に継がせたかったんじゃがなあ」

「それは、なんといいますか」

「いやなに、魔物狩りにの方に傾倒して全く学ぼうとせんのよ。仕方ないわい」


 荘園経営の教師は現役の荘園の代官である。

 初老の男性であり、先代師範の世代の人で、師範代だったそうだ。

 忙しい中、時間を作って役目の継承に協力してくれている。


 シ家では代官は世襲とはしていないので息子に継がせるというのは本人の希望でしかない。

 だが、信頼と適性がある者に任せると考えれば、現在任せている者の身内ならば全く知らないものよりも敷居が低くなるのもまた当然の話。

 親から子へと知識と技術を継承するのは一般的なことなのだから。


 代官の息子は、ハン師範が信頼する門下生であり、魔物狩り徒党の党首として活動している。一距両疾流直属のだ。

 つまりチャロンの当面の上司に当たる人物である。

 荘園代官とは別の形でハン家の重鎮であるともいえる。

 剣士としては実働の指揮を執るのは花形だ。

 目立ちにくい内向きの仕事は重要だが人気は低い。

 もっと大きな規模の家だと話は変わるのかもしれないし、剣の街は武辺の街であるということもあるだろう。

 バルディも剣を志して剣術道場に入った口なので気持ちはわかる。

 ただうっかり隙間に入り込めたために今このような状況になっているのだが。


「ま、今は忙しいじゃろ。本格的なことは結果が出てからやってもらう。荘園を歩き回って覚えねばならんことは多いのでな。今は概要と書き仕事を覚えてもらおう」

「よろしくお願いします」

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