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剣初心者うさみ 74

「と、いうわけで二十軒分の情報と経路を考えてきた。これが資料。書き込んで使ってどうぞ」

「段取りが早いですの!?」


 待ち合わせは剣の街でも中流層にある五代目剣王の像の広場だった。

 バルディたち以外にも、男女や男男や女女が集まる待ち合わせの定番の場所である。

 貴族街と呼ばれている一帯と、商人など比較的裕福な平民が集まる一帯の境に近い。特に壁などで分けられてはいないが、巡回の衛兵の数と質に差が見える。

 ちなみに、バルディの実家ガン屋は後者の大通り沿いに。ミーナの使えるヤッテ家は当然前者の真ん中くらいの格の場所にあった。

 なお、道場は下町と中層の境あたりである。


 バルディは姉の情報を中心に実家の使用人や取引先の使い走りなどからも話を聞き、情報をまとめていた。

 普段から街を駆けまわっている者たちの経験は店の選定と経路の策定の補助として十分以上に役に立った。即席でなくじっくりかかればもっと精度をあげられたかもしれない。

 だが、これから一次情報を集めに行くのであるから、ほどほどの精度があればそれでよかったのだった。


「でも、一日で二十軒はさすがに回りきれませんですの。お腹の大きさには限界が……ここは何回かに分けて――」

「その件ですが、我に秘策アリ」

「ですの!?」

「とはいえ、実際にやってみて臨機応変でよいかと」

「まあそうですの」


 二人とも、甘味の食べ歩きの経験などなかったので、実際に一日何軒回れるか、バルディの秘策とやらを使ってどれだけ追加できるか、わからないのだった。

 ただ、普段の食事やおやつは修練が進むにつれて量が増えてきているため、入門前と比べると多く食べられるようにはなっている。


「そういえばチャロンは呼ばなかったのですか?」

「仕事が既に入っているし甘味の店などわからない、と断られたですの。費用は経費で出ると伝えたのにですの」

「ああ。剣を買うために稼いでるって言ってましたね」


 チャロンは目標額を定めて貯蓄を進めている。

 以前道場で念を押されたことでもあるが、剣は他の武器と比べても高価だ。命を預けるものであるから最低限の質も必要である。

 そのための貯蓄計画を計算してくれと頼まれて若葉組修了をめどにした計画を作ったのは何を隠そうバルディである。

 野球にはしばしば顔を出すので、まずまず順調なようだが、今回は間が悪かったようだ。


「それならチャロンを含め、道場の人に土産を買いましょうか。私が出します」

「経費にできるのにですの?」

「お土産は別でしょう」

「それならわたくしも個人で出すですの」


 そういうことになった。


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