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うさみすぴんなうとAW  作者: ほすてふ
剣士編

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剣初心者うさみ 61

「今日は例の秘密の修練をやっているから、父さんは道場に。母さんはケンの世話で忙しい。今ここの居るのはバルディくんとあたしの二人だけよ」


 一距両疾流道場と同じ敷地内にある、シ家の本宅。

 その一室でバルディは働いている。

 内弟子である松組の居住空間は基本的に道場側に確保されているので、こちらで寝泊まりするのはシ家の家族と番役の数名、それとバルディだけだ。


 バルディが本宅側で寝泊まりすることになっているのは、秘密の修練のためだろう。

 バルディが秘密を知るのはまだ早い。

 だが、松組は参加する。

 松組と一緒に寝泊まりするとなると、秘密の部分が漏れるかもしれない。

 修練の後に、今日の修練はああだった、こうだった、などと感想を言い合ったり顧みたりするのは、バルディたちでも行うことだ。

 秘密の内容でそれを行うところにバルディが居たら邪魔だろう。

 それ以外でも、修練直後の先輩方の様子から何かしら読み取れるかもしれない。

 また、バルディが同じ建屋にいればこっそり覗き見ようとするかもしれない。


 秘密を守る上である程度の配慮した結果であった。


 あるいは単純に夜中うるさくて早く寝られなくなるからという配慮かもしれない。



 さて、番役は仕事があるのでバルディに構う暇はない。

 シ家の家族がそれぞれの用件で離れているのなら、二人きりになる。


 つまりおジョウさんがバルディを訪ねればこうなるのは自然なことなのである。



「で、うさねーさんのことだったわね」


 夜着に上着を羽織った姿のおジョウさんが腕を組んでいる。

 一方バルディは思わず姿勢を正していた。

 状況を言葉にすると色っぽさが含まれているように見える。

 しかし、普段は笑顔で快活なおジョウさんがまじめな顔をしているのである。

 まるで修練の監督中のような真摯さを感じ、バルディもつられたのであった。


「うさねーさんはね、あたしが物心ついたころからああ(・・)だったの。あたし、半分はうさねーさんに育ててもらったようなものなのよ」

「なるほどそれで」

「うん? それでって?」

「あいや、仲良しだなあと」

「そう見える? うふふ」


 おジョウさんの真面目な顔が一気に崩れ、空気が弛緩する。


 おジョウさんがうさみにベッタベタなのはそういう背景があったせいだったのか、

 バルディは深く納得した。

 女同士で好き合ってどうこうというやつではないらしい。

 親や祖父母に特別懐いている子どもは時々見かける。

 妹の一人も祖母にべったりだ。祖母の方もよくなついている分さらに可愛がる。ベッタベタ螺旋である。


 ということは、うさみもおジョウさんを特別可愛がっているということだろうか。

 まあ、おジョウさんはかわいいので懐いてきたら可愛がってしまってもおかしくはないだろう。

 ちっちゃいうさみが今のおジョウさんを可愛がる姿を想像して、バルディは思わず笑みを浮かべた。意外性と言おうか、普通とは逆の姿が面白く思ったのだ。

 実際はおジョウさんがもっと小さい頃からなので、例えばバルディが妹の面倒を見るような様子なのだろう。

 そこにうさみとおジョウさんを当てはめてみると、それはそれで可愛らしい。


「?」


 ふと気づくと、おジョウさんがなんでこの子ニヤニヤしてるのかしら、みたいな顔で見ていた。

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