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うさみすぴんなうとAW  作者: ほすてふ
剣士編

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剣初心者うさみ 60

 その日は一度実家に顔を出したが、仕事が溜まっているということで道場にとんぼ返りした。

 心配はされたが、怪我は完治していること、商家の仕事の範疇である帳簿の仕事をするためであることを伝えて納得してもらった。

 日々の帳簿の管理は商談と同じくらい重要なことだと、バルディも教えられている。他でもない、家族からだ。

 父や母、兄姉はやはり心配していたようだったが、“仕事”のためだとわかるとどこかほっとしたようだった。弟妹はお泊りがうらやましいようだったが。


 バルディが剣士を志した時も、皆応援、あるいは許容してくれたが、内心は心配していたのかもしれない。

 剣士というのはつまり荒事を行う職種なのだ。今回のように修練の段階でも怪我をするし本番となれば戦い。命がけである。身内を心配するのはおかしな話ではない。


 三男という立場はよく言えば自由、悪く言えば浮いた駒である。

 立場としては居ても居なくてもいい。跡継ぎもその補佐兼予備も上にいるのだ。

 家族として見れば心配である。

 だが立場を見るなら自発的にやりたいことがあるならやらせてやってもいいか、そうでなければ何かしら用意してやろう、どちらでもいい。そういう立ち位置だ。


 そういうわけで、バルディが帳簿付けの仕事を確保したのは歓迎しているのだろう。

 それ自体に危険は少なく、自分たちの職掌の範囲内なので何をするのか想像がつきやすいのもある。


 しかしそういったことは、皆これまで表にださなかった。

 怪我のことがあって初めて表にだした、と少なくともバルディは感じた。

 気づいたのは怪我をしたことでいろいろと考えたためだ。

 それでも、やめる気にならないのは自分でも少し不思議だったが。



 ともあれ、道場にもどり、仕事を進め。

 バルディはおジョウさんと話しをしていた。

 話の内容はうさみのことだ。


 はじめ、おジョウさんは荘園での療養中のに話した件で、まだバルディが悩んでいるのかと思って声をかけてくれたらしい。

 実際にそういう例があったそうだ。

 切り替えられてないのであれば、復帰直後、完調ではない立て直しの時に、また同じことを実感すれば、同じように、いやますます悩みを深くすることもあるだろう。


 ただ、今回に限っては、バルディは一応切り替えに成功していた。

 それはそれとして、うさみの様子が気になってしまっただけであった。

 疑問が解消されるか、別のことに興味が向けば、例えば新しい訓練でもあればそちらに意識が移っただろう。

 あるいは一晩眠れば。切り替えられただろう。

 だが、今日については復帰直後ということで新しいこともなく。

 バルディの中では【回復力】の使い方についての試行錯誤があったのだが、その【回復力】を意識すると、それを伝授してくれたうさみのことも思い出すのである。


 道場でも浮いている謎のエルフが気になっていただけだ、と。


 そうおジョウさんに伝えると「夜ちょっと話そっか」とニッコリ笑顔で言われたのである。

 どこか圧力を感じる笑顔だった。

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