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うさみすぴんなうとAW  作者: ほすてふ
剣士編

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剣初心者うさみ 45

「物を切るのには方向があってね。包丁を使う時、野菜みたいに硬いものは奥に押すように切るの。お肉やお魚の切り身のように柔らかいものは引きながらになるわね。剣も、切るときはそのほとんどが引くように切るのよ。どういうことかわかるかしら?」


 おジョウさんはよくしゃべる。

 既に数日バルディはおジョウさんに教わっているが他の人は最低限しか喋らないのに対しおジョウさんは最大限喋っているといったところだろうか。

 それは、唾が飛ぶのを避けるために料理中は普通は喋らないだろうこと、しかしバルディに教えるために口を開く必要があることを考慮すれば、自然な成り行きかもしれない。


 料理には多くの気遣いが為されていることを、バルディはこの数日で知ることになった。

 先ほどの唾の件もそうだし、髪の毛が混入しないように髪をまとめることもそうだ。おジョウさんやうさみなど髪の長い組はくるくるとまとめて固定した上で、短い者も三角の布を頭に巻いている。バルディもだ。

 身を清めることももちろんで、入念に手を洗うことが大事らしい。


 料理だから食べる人のことを考えて、というのは当然というわけだが、その上でさらに考えるべきことがある。

 六名、いや四名でも広いとは言いにくい調理場で、お互いを邪魔しないよう役割を分担しつつ協力して各々が動くというのは互いの気遣いが大事なのだ。

 なんと言っても、火と刃物を扱うのだ。

 一人で使うだけでも持ち方置き方使い方と気を使わなければならない物を複数人で同時に扱うとなればそれは当然だろう。

 また、事前の取り決めを行うことも必要だ。当たり前だが、何を作るかを決めておかないと話にならないし、誰がどの役割を行うかは毎日変わる人員のため確認は必要であるし、そもそも分担するとしてもそれぞれが基本的な手順は共有している。知らないものについては知らないと伝え別の役割を割り振るか教育送りだ。

 今回はバルディが教わっているので役割のほうだが。

 同じ流儀で教えることで、初見の組み合わせでも速やかに分担可能になる。


 といったことも、目の当りにして教わって初めて知ることが出来、実感できた。


 そんなことを踏まえつつ。


「包丁は、硬いものを切るときは外に向けて使う方が安全ということでは。力を入れて手前に引くのは危ないですよね」

「そうね。あたしもそうだと思うわ」

「思う、ですか?」

「昔の人が考えたことの真相はわからないもの。でもそういうふうに習って上で、その説明に納得できたからね」

「なるほど」


 習ったことを鵜呑みにするのではなく、自分で考えて納得いくよう判断しろと。

 そのように受け取った。

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