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うさみすぴんなうとAW  作者: ほすてふ
剣士編

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剣初心者うさみ 25

 道場は毎日通うわけではない。

 まず、七日に一度の休息の日は基本的に休みである。

 そのほかにも休みは門下生の都合でとることが出来る。

 門下生も剣の修練をするだけで食べていけるわけがない。月謝も払っているし自身の食い扶持も稼がなければならない。

 道場が修練を兼ねられる仕事を請け負い門下生に回す場合もある。

 内弟子の松組などはそうやって道場に貢献している。

 だが、剣一筋でいられるものはそれほど多くない。本業を持っている者も多いのだ。

 それから、筋肉痛の日も休んでいいことになっている。むしろ筋肉痛の部位があるとその場所を使う修練は免除、いや制限されてしまう。

 自己申告なのでそのつもりになればいくらでも不精ことが出来る。

 もっとも、休んでも月謝は変わらないし、座学や筋肉痛ではない部分の訓練を受けることもできるので休まないものも多い。



 さて、休みの日でも自主的に修練をする者もいるので道場自体は開かれている。

 おカネを払っているのだ。道場を利用しつくしたいというものもいる。怠けるようなものはほとんど最初の十日で脱落している。

 かといって休みの日まで通うものは多くはない。

 道場で寝泊まりしている内弟子などは別だが、修練が物足りないとか、もう少しで何かつかめそうとか、とにかく修練するのが大好きとか、おジョウさんと一日でも多く会いたいとか、そういう人たちだ。


 なぜ細かい事情までわかるかというと、バルディも休日に通っているからである。  先日の件から、バルディは積極的に道場内で人脈を広げていた。

 といっても話しかける頻度を増やしただけだであるが。

 後輩の立場を利用して、というと言葉が悪いが、先達を尊敬し尊重して下から攻めれば立ち話をするくらいになるのは難しくない。なんといっても商家の出身、得意分野である。

 なにより実際に尊敬しており嘘がない。

 向こうも後輩に慕われるというのは悪い気分ではないようで、なかなか良い関係を築けているとバルディは自認していた。



 さて、実はバルディが休日に道場に通うのは修練が目的ではない。

 おジョウさんに会うためでもない。

 いや会えたらちょっとうれしいが。


 ではなぜかといえば、もちろん仕事である。

 先輩方と話す時間を増やした。

 道場外での訓練もするようになった。

 毎日の時間配分が変わったのである。

 そこで、帳簿つけの時間を休みの日にもってきたのである。


 日々の記帳は以前の通り朝にやっているが、今は道場に早めに集まって、チャロン、ミーナの三人で道場の修練以外の訓練をしている。その分取れる時間がかわったのだ。

 しかし仕事は仕事、やるべきことはやらねばならない。

 それに、締めの勘定など時間がかかる作業ははできればまとめて済ませたい。そのほうが修練がある日に小分けにしてやるよりも効率もいいし間違いも減るのだ。

 帳簿の間違いはつらい。

 計算しなおして、どこが違うのか確認して直して、計算しなおして、計算しなおして計算しなおして計算しなおして計算しなおして計算しなおして計算しなおして計算しなおして計算しなおして計算しなおす。

 日をまたぐとうっかり見落としたり、二重記帳したりという人為的失敗がありがちなのだ。

 商家ガン屋の面目としても、仕事を請け負っている者としての矜持としても、失敗した時の労力としても、帳簿つけの仕事は手を抜けないのだ。効率よくできるならそれが一番いい。


 しかし休みの日を仕事に費やすことで、遊びに行く機会が減るのが欠点であった。

 同じく休日に道場へ通うものや松組の猛者たちとの交流の機会があるので一長一短ではあるのだが。

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