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うさみすぴんなうとAW  作者: ほすてふ
剣士編

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剣初心者うさみ 23

「そっか、わかった。気を付けるぜ。悪かったな!」


 チャロンに話した結果、あっさりと返ってきた答えがこれであった。

 拍子抜けである。予想を、いや思い込みを外されたわけだ。

 バルディとミーナは顔を思わず見合わせた。うさみの予言的中したり。


「どうしたんだ?」

「いやなんでも」「ですの」



 お家の面子にかかわるので、内外でミーナを下に見ているようにとられかねない言葉を口にしないでくれ、という話をじっくり説明して同意を得ようとしたのだけれども、長々と話をする前に至極あっさりと話しがついた。


 上手くいくのに越したことはないのだが、なぜこうも簡単にという疑問が残る。

 なので二人はチャロンから聞き出した。

 チャロンはそれにも特に躊躇することなく答えを返した。


 簡単にまとめると要点は二つ。


 一つはチャロンが、二人の思う以上に素直だったということ。

 嫌だと思うなら言ってくれればやめる。同じ道場の門下生で共に学ぶ組であるのだから当たり前だよなあ。なんかあったら遠慮しないで言ってくれよな。

 そういうことだった。

 つまりチャロンはわかりやすく、そして気のいい男子だったということである。

 考えが及ばないことがあっても、求められ、気づけば直せるということだ。

 まだ子どもなのだから気づかないこともあるだろうし、思わず癖として出ることもあるかもしれないが、自ら改めようと即決できるのは美点だろう。

 バルディはチャロンを侮っていたと自覚し、恥ずかしくなった。


 もう一点は、チャロンも面子というものを理解していたということだ。

 港の仕事は力仕事であり、その上、人の出入りは激しく、船乗りもいれば船主も、商人もいるしお偉い人も来る。

 荒くれも多い。カッとなれば手が出る者たち。

 様々な人々が問題なく活動するにはまとめるものが必要だ。荒事の発生を抑え、起きてしまえば速やかに収める必要がある。

 故に、港の顔役は文字通り面子が大事だ。そうでなければ、荒事を抑えることも収めることも難しい。

 そういう場所で生活しているのである。

 街の中で生活している者よりもむしろ身近かもしれなかった。



 ともあれ、三人の間の問題はこれで解決の目途は立った。

 今回話したことで、おそらく今後はお互いなにかあれば言い合える仲になったと、少なくともバルディは考えている。

 チャロンはそもそもはじめからあけっぴろげだった。バルディとミーナが気付いていなかっただけだ。ミーナもチャロンが素直に認めたことを認めたように見えた。

 話し合いで解決するなら剣も魔法もいらない、とは言うが、剣を学ぶ者が話し合いで解決しても構わないだろう。


 しかし、その一方で問題の原因は取り除かれていない。

 利き手と逆の手。

 時間をかければスキルの力もあり解決するだろうが、それはそれとして悔しさも間違いなくあるし、そうでなくともできるようになりたい。


 そこで、三人で相談し、先輩方に話を聞こうということになった。

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