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うさみすぴんなうとAW  作者: ほすてふ
ゾンビ編

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ゾンビ初心者うさみ 66

ゾンビで年またぐのもなんなので、今年中に終わらせます。5

 大地が燃えていた。


 戦場だった場所とその周辺一帯はきれいさっぱりなにもなくなっている。

 うさみが結界を施した森も消滅していた。

 焼け焦げた大地とそれでもなお燃えているなにか、いや、地面が赤熱しても得ているように見えるのかもしれない。

 活火山の火口と言われたら納得するだろう景色。


 そしてその一画から一筋の線が、旧王都の方角へまっすぐ伸びて、伸び続けている。

 その先にいるのは、紅い、巨大な、ドラゴンだ。

 胴体がでっぷり太った、いやがっしりと肉のついた蜥蜴に巨大な蝙蝠のような皮膜の翼を生やした、ドラゴンといえばこれ、と思い浮かぶような姿が、火竜王のそれだ。


 しかし今の姿は、先日見た姿とは変わっていた。

 全身を赤黒い炎が覆っている。

 体の周辺が歪んで見えるのはこの炎の熱のせいだろうか。

 目にはこの世の全てを呪うかのような暗い色を宿し、向かう先をにらんでいる。

 翼はボロボロで穴や裂け目が多数。これでは空を飛ぶことはできないだろう。と思ったがもともと翼だけで飛んでいるわけではないか。


 探知魔法の反応は確かにあれをアンデッドと認識していた。

 アンデッドドラゴンロード。火竜王ゾンビ。

 不死者の王は世界をアンデッドの世界に塗り替えようとするかのようにその力を放出し、そして生き物をアンデッド化させていた。

 火竜王ゾンビは逆に体の内に力を押し込めているように見える。

 死、憎悪、怨恨、苦痛。そんな言葉を想起させる強烈な想念が、渦巻いているように見えた。

 気の弱い者なら見るだけで気を失うか、あるいは命を手放してしまうかもしれない。

 ドラゴンはもともと恐ろしいものだが、今の火竜王ゾンビはさらにおぞましさの方向に変質しているようだった。



「さてどうしよう」


 周囲を真っ黒に焦がしながら進む火竜王ゾンビを眼下に、うさみはマジックミサイルを撃ち込みながらつぶやいた。


 間断なく打ちこまれる無数の光の弧。

 しかしそれは、火竜王ゾンビに着弾する前に、身を覆う黒炎にやきつぶされていた。

 マジックミサイルは完成度は高いが威力に関しては低級の魔法なので当たっても効かないことも、防がれることもあってもおかしくない。

 おかしくはないし、むしろ火竜王ということを考えれば当然とも思える。

 でもどうしよう。


 とにかく、早急に気を引かなければならない。

 こんなのがエルプリの下までたどり着くなんてことを許すわけにはいかなかった。

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