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うさみすぴんなうとAW  作者: ほすてふ
ゾンビ編

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ゾンビ初心者うさみ 39

「わらわたちではうさみの同胞になれぬのじゃ?」

「答えにくいことを聞いてくれるね」


 うさみは小さくためいきをついてから言葉を継いだ。


「わたしはかなり身勝手だから、自分の思い通りにならないのが嫌なんだ。だからエルプリとの個人的付き合いならまだしも、大勢のエルフと一緒に行動するのは勘弁してほしいのが本音だね」


 すべてではないが、本音である。

 さらに言うなら、思い通りにならないことそのものよりも、意思を通すために根回しやらなにやら苦労を重ねなければならないのが苦痛なのだ。


 全部なかったことになるのに。

 そうやって距離を縮めて。亡くなるだけなら自然の摂理なのだけれど。

 なかったことになる。


 良心に負担がかからない程度に割り切っていかないとしんどい。というのがより深い部分。


「エルプリを助けたのは自分がそうしようと思ったからだし、あの時助けられるのはわたしだけだったし、助けた以上はひと段落するまで付き合うのが筋だと思うから今まで協力してきたけれどね、当初の目的は達したでしょう?」

「そうじゃな」


 人類滅亡の危機だけれど。そして多分もうとまらないけれど。

 滅亡を導いた一因はそれぞれあるけれど。あの剣はエルプリたちが封印していたものでそれを使った兵器の開発に協力したのはうさみだ。


 だがまあ、結果だけ見れば最も多く生きのこった集団だろう。

 不当な拘束も失われ、自由を得た。

 たくさん死んでしまったが、それでも。

 生殺与奪を他者に預けなくて済むようになったのなら、なんだ、不幸中の幸い? 違うか。

 言い方は悪いが、人族をドレイにしようとか言える程度には自分たちの未来を自分で選べるようになったのだ。

 アンデッドという問題は残っているが、エルプリとその同胞が、エルプリとその同胞として生きていくことに関しては心配いらないはずである。


「うさみはやさしいから、われらに失望したのじゃろ。少なくともうさみが感知できる範囲でほとんどの人類がいなくなり、世界も滅ぶかもしれぬという状況に及んで、まだ人族へのわだかまりを忘れられぬ我ら氏族に」

「いやそういう話じゃ……」

「じゃから、新たに助けた者たちが落ち着くまで助けてやりたいと、うさみならそう思うのはわらわにもわかるのじゃ。わらわにここまで付き合ってくれたのじゃから」

「あの」

「戦争に出かける前にもな、思うておったのじゃ。うさみが戦争など行かなくてもいいはずなのに。うさみはわらわのためにやりたくもないことをしてくれたのじゃ。それなのに、うさみに返せるものがないというのは、悔しいのじゃ。今、うさみが行ったことが本当なら、なおさらじゃ」


 うさみが口を挟むのも許さず言葉を続けていたエルプリがうつむいてしまう。

 が、すぐに顔を上げ。


「じゃがの、本当にわらわにできることはないのじゃ?」

「えっと……じゃあまあ一番厄介な問題を解決するの手伝ってもらって、面倒なところを担当してもらおうかな」


 もしもエルプリが連れていけというならば、考えただろう。

 だが、エルプリはできることはないかと言った。

 取り戻した同胞とともにあるのがエルプリの幸福ならそれでいいだろう。


 まあ、うさみにとってもその方が都合がいいんだからね。

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