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うさみすぴんなうとAW  作者: ほすてふ
ゾンビ編

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338/494

ゾンビ初心者うさみ 37

「うさみ! 無事じゃったか!」

「ただいま」


 うさみが部屋に入ってきたことに気づいたエルフの少女が、満面の笑みで駆け寄ってくるのを、うさみは受け止めながら扉を閉めた。


 うさみが助けた少女、紅の森の最年少、エルプリである。

 外見上の年恰好は相変わらずうさみと変わらない。子どもはすぐ育つといっても十日や二十日程度で一気には変わるわけではない。


 巨樹に侵食されてはいても、出オチ伯爵の館の間取りは大きく変わってはいなかったので、エルプリの居場所が分かれば辿り着くのは容易だった。


 森の狩人たるエルフも内部まで厳重な警戒を敷いてはいなかったし、火竜王が拘束されている今、うさみが自身を縛る制限は大きく緩和されているのである。さらにはゾンビを倒したことでうさみ自身も能力が、つまりレベルが上がってしまっている。

 こっそり移動するための魔法と合わせれば目の前を通っても気づかれないなどという芸当すら可能だった。



 そして肝心のエルプリの居場所の特定だが、これはわりあい簡単なことで、つまりエルプリにつけた森の精霊様、エル子の位置が分かればそれでわかるのだ。

 精霊エル子はうさみが名付けたことでうさみとつながりがある状態であり、これを逆にたどれば居場所はわかるというわけである。

 むしろそれが問題でもあるのだが――。




「突如エル子が飛び出ての、うさみにもらった棒が光り出したのじゃ。そして気がついたらこのような大きな木に囲まれた空間になっておったのじゃ」

「なるほど。エル子、わたしの魔力使ったね?」


 エルプリの周りをふわふわきらきら、ゆっくりと周回している光の塊、精霊エル子をうさみがチラリと見ると、精霊エル子はエルプリの後ろにすいーっと回り込んで隠れてしまった。

 光っているので隠れた意味はないように思えるが、まあそれはいい。



 おそらくうさみが戦場傍の森で結界に魔力を注いで即死の力を防ごうとした際に、精霊エル子も自身の判断でエルプリを守ろうとしたのだろう。

 うさみに無断で、繋がりを経由して魔力を得、また同じくうさみに渡されていたうさみが魔力を注いだ樹木と同質の存在であるお守りを森の精霊が力を奮うために必要な形に変質させたのだと思われる。

 うさみが変身の魔法で力を増したのとほぼ同時だったのだろう。扱う魔力が増える瞬間から魔力を抜き取られ始めたので気付かなかったのだ。

 その結果、エルフに聖樹と呼ばれるほどの巨樹に育ち、不死者の王の魔力に対抗しうるようになったのだ。

 逆に言えばそれだけ必要だったのだろう。

 結界を強化する時にちょっと手間取り、やや思うようにいかなかったのも、それだけエル子に抜かれていたからだったということで、やむを得ないことだし結果的には切り抜けたわけだし問題ない。

 だから勝手に抜かれていてもうさみは怒っていないよ。本当だから出てきなさい。


 うさみが魔力を手繰り寄せるとエル子がふにょーんと引き寄せられてきたので、魔力をたっぷりと与えてやる。

 ゾンビを一部隊と少し倒しただけだが、うさみの魔力は昨日までの二十倍程度になっていたので余って仕方がないのだ。

 普段の二十倍となると身の内に納めるのもまだ慣れていないので消費してくれるならいっそ助かる。



「外が動く死者であふれているというのは本当なのじゃ?」


 心なしか光が強くなっていくようなきがするエル子を見ながら、エルプリが尋ねる。

 うさみは今回見聞きしてきたことを語るのだった。

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