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うさみすぴんなうとAW  作者: ほすてふ
ゾンビ編

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ゾンビ初心者うさみ 18

 干し野菜と干し肉がたっぷり入ったおかゆを食べ終わったころには太陽が出ていた。

「じゃあみんなこれ持っててね」

「なあにこれ?」


 うさみは、木の棒を持ってない者に配布した。

 奇襲部隊組は皆持っているので、逃げる間に無くした者と、アップルと村で合流した三人にである。なお、一人は先に逃げたグループに入っていた。


「お守りだよ。これを持っていたら何かあった時魔法でまもることが出来る、かもしれない」

「かもしれない?」


 この集団唯一の子ども――外見年齢はうさみと同じくらいの少女――がうさみに尋ねる。

 食事中に寄ってきて懐かれてしまった。家から腸詰とか持ってきて分けてくれ、おいしかったので邪険にできない。

 子どもが絡むと選択肢が狭まるのでうさみとしては苦しいのだが、居る者は仕方がない。


「絶対とは言えないからね。まあ、気休め程度だと思って」

「そっかー。そんなものよね」


 少女がやや大げさに、大人ぶったそぶりを見せると、それを見ていた大人たちから笑いが漏れた。


「改めて、これから王都へ向かって徒歩で移動します。一週間くらいかかると思いますが、途中の村で補給できるかどうかは未知数なので、荷物は食料多めで用意した? よね?」

「途中で狩り、も期待できそうにないしね」


 馬がアンデッドになっていた以上、他の生き物もアンデッドになっている可能性がある。

 アンデッドは食べられない。十中八九傷んでいるからだ。お腹痛い痛いになる。

 虫はアンデッドになっていないようだが、虫食はこの辺りではやっていないので最後の手段だろう。うさみもあんまり気が進まないし。まあうさみは草を食べればいいのだが。


「女性や子どももいるので、大人の兵士さんは助けてあげてね。わたしは索敵を優先するから」

「女性」

「子ども」


 アップルとうさみに注目が集まったが、アップルがしっしっと手を振るとみんな目をそらした。


「それじゃ出発するよ。わたしが先頭、黒犬さん、後ろお願い。女の人と子どもはは真ん中、アップルお姉さんはわたしが呼んだら動けるとこならどこでもいいよ」

「了解であります」

「はいはい」



 皆、大荷物を背負っての旅立ちだ。鍋釜を背負ったり、武器を持てるだけ持っている者もいる。鎧を拠点にあったものと取り換えた者もいる。

 これはちょっと大変そうだと思い、うさみはそっと魔法をかけた。

 体力を回復する魔法。

 例の棒を媒介にすることで、全員に行きわたる。

 これでいいかな、と思っていると。


「うさみちゃんあまり無理したらだめよ?」

「ん? ああ、これくらいは別に」


 アップルが気付いたらしい。さすがに、敏感だった。


「それにしてももったいないわね。あたしらが持ち出せたの一割にもないわよ」

「まあねえ」


 一国の決戦兵力を養うだけの物資、人数の桁が違うのだ。

 馬車を大量に使って運び込んだものである。普通に持っては持ち切れるはずがない。


 うさみたち以降に戦場から村に立ち寄って補給する者も、おそらくいない。

 あれはそのうち腐ってなくなるのだろう。


 もったいない。

 あーもったいない。

 などと話しながら歩を進めるのだった

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