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うさみすぴんなうとAW  作者: ほすてふ
ゾンビ編
306/494

ゾンビ初心者うさみ 5

 二つにちぎれて飛んで行った動いていた死体と、動いていた死体がいた場所に入れ替わるように立ち、戦鎚を構え直している赤い女戦士。

 黒犬さんを含め、王国の伏兵部隊は一瞬あっけにとられていたが、その後の反応がいくつかに分かれた。


「う、動くなであります!」


 慌てて各々の武器を構えた者。


「う、うわああああ!?」


 悲鳴を上げて逃げ出した者。


 後は身動きが取れない者。


「あ、こら、逃げるなら来た道通って王国の方に! まだ、結界の外に出たらアンデッド化するよ!」


 うさみは逃げる者たちに一声かけたが、外からの圧力への対処で成長させた木のそばを離れられず、それ以上のことはできなかった。


 さらに、黒犬さんをはじめとした赤い女戦士と向き合っている者たち。胆力はあるが向ける方向が間違っていると思う。とはいえ、敵同士だったのだから仕方がないかもしれないが。

 この期に及んで生き残った者同士で殺し合ってもしょうもない、時間もないしサッと止めてほしいところなのだが。


「黒犬さん、責任者は?」

「奇襲の下見に出ていたであります。おそらくは……」

「なんで偉い人が自分で動くの」

「自身で確認しなければ成功する者も成功しないと」


 偉い人に止めてもらおうと思ったが、もういないという。

 うさみは気のせいか頭痛がしてきた。


 しかしそうなると。


「赤いお姉さん、お名前は? わたしはうさみ」

「アップル。あんた金花って呼ばれてたのは?」

「作戦名?」


 戦鎚を担いで黒犬さんたちを威嚇していた赤い女戦士の方を止めることにした。


「この場で一番強いアップルお姉さんにお願いがあるんだけど、王都まで護衛してくれないかなって」

「うん?」

「金花殿!?」

「何を言っている」


 アップルも、黒犬さんをはじめとした伏兵部隊の人たちも、うさみの方を向いた。


「このままここにいたらもっと危険になるから一刻も早く離れたいんだけど、心細いからアップルお姉さんの力を借りたい」

「あんた何を言って……ああ、そう。王都方面になら逃げられるのね?」

「今ならまだ。でも時間はない」


 上空で戦場を見ていたアップルは、結界の向こうにあるものを具体的に想像できるはずである。

 二国の軍隊丸ごとアンデッドとなったのだとすれば、アップルにとっても十分以上の脅威だろう。

 アンデッド化とか、結界のことも含め、落ち着いて考えれば心の底でどう思っていようと、うさみの提案に乗るだろうことは、いや恨んで自棄になったらわからないが。どうだろう。


「わかったわ。うさみちゃん、しばらくあなたに付き合いましょう。よろしくね」


 アップルはそう言って武器を下ろし、戸惑う周囲を無視してうさみの方へと歩み寄ってきた。

 よかった。

 うさみは胸をなでおろそうとしたが、その時。


「あ、もう来た」


 森の一角が轟焔によって薙ぎ払われ吹き飛んだ。

 炎はそのままの勢いで平原、つまり戦場へと伸びる。

 天上から炎の奔流がアンデッドへと降り注ぎ、不快な臭気と熱を振りまいた。


 ドラゴンが飛来した。


「今がチャンス! 黒犬さん、アップルお姉さん、他の人も! 逃げるよ!」

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