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うさみすぴんなうとAW  作者: ほすてふ
ゾンビ編
302/494

ゾンビ初心者うさみ 1

戦争初心者の続きにあたります。

 遠くにどかんどかんと爆音が響く中。


「よーし、今よ」


 うさみは雑多な集団を引き連れて移動を再開した。


 人族、エルフ、獣人族。

 王国兵の格好をしている者、帝国兵の格好をしている者、どちらでもない者。


 全部で数十ほどの集団が、あたりをうかがうようにしつつも小走りで進んでいる。

 何かに怯えているように。


「そんな緊張しなくても、普段から野外は危険じゃない」

「そう簡単に割り切れたら苦労しないであります」

「あ、うんソウダネ」


 ポロリとこぼれたつぶやきに対し、黒犬さんに言葉を返されうさみの額を汗が一筋。

 犬が苦手で犬獣人の黒犬さんに未だに緊張してしまううさみが言えたことではなかった。


「あ、敵発見。みんな、隠れて」


 ごまかしていると、魔法の探知に敵が引っ掛かった。

 新しく作った魔法は水平方向に対しレーダーのように働き、条件を満たした者に反応してうさみに知らせる機能がある。

 対魔法使いとしては逆に位置を知らせてしまうだろうが、今の敵に対してはさして問題にならないので便利だ。


 引っ掛かったのはこちらと同じか少し多い程度の集団だ。

 どかんどかんの音の方へ向かっているようだが、うさみたちに気づくと進路を変えてくるだろう。


 やり過ごすために出したうさみの指示で、みんなはしゃがみ込み手に小さな棒を持って掲げる。


 待機。


 待機。


 待機。


 待機。


 待機。


 よし行った。

 今回も木のふりをする魔法は有効に働いたようだ。


「いいよ。行こう」


 進行を再開。

 みんな慣れた様子で、しかし疲労のたまった顔で、うさみについてくる。


 こんなことの繰り返しだ。どっかんどかん。


「もう、早いとこカ・マーゼに帰りたいんだけどなあ」

「我々を置いて行けばすぐでありますよ」

「いやなこと言わないでよ」


 うさみが黒犬さんを振り返って心底嫌だという顔をする。

 数人が笑い、数人が表情を暗くし、聞こえてない者が首を傾げ、そんな余裕がない者が震えている。



 この状況、うさみに結構な原因があるのだ。

 それを思うとそういうわけにはいかなかった。

 責任感というよりはもう少し卑賤な感情。


 しかしながら、ついてきている人たちはそんなことは知らない

 多分、うさみが親切でお人好しとか思ってるのではないか。

 それもまた心苦しいところだ。


「まあ、もうひとがんばりであります」


 黒犬さんが気休め程度に言うと、何人かが目に生気を取り戻す。

 もう少しというのはまあ、その通り。

 この、だるまさんが転んだみたいな進軍が終わるという希望でもうちょっと頑張れるならそれはいいことだ。


 問題は、目的地が安全だとも限らないのだが。

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