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戦争初心者うさみ 87

 頭を動かしたことで地上の様子が目に入った。


 左右を厚く、待ち構える王国軍に対し、倍する兵力の帝国軍は中央を厚く相手の方を向いた三角形か。

 ブーメランのようなへの字といった方が近いかもしれない。もしくは楔形とか矢じりの形とか。


 形だけ見ればパズルのように噛み合っているように見えるが、これがぶつかり合ったらどうなるだろうか。

 数と練度は帝国軍が有利であるものとする。


 薄い中央を突破されるだろうか。

 柵を設置して備えているので耐えられるだろうか。


 例えばそこの赤い女戦士が上空から落下してドカンとやったら備えも吹き飛ぶかもしれない。

 彼女のチームがこの軍を率いているということなので、同等以上の戦力がまだいるはず。

 味方にも強い人がいるはずだが、毎度負けていることを考えると、押し込まれてとどめを刺されようとしていることを考えると、あまり期待できないだろう。


 とはいえ、うさみの仕事はこの人を拘束することなのでそれ以上は考えない方がいいだろう。


 とか考えていたら、両陣営からそれぞれ騎獣と騎鳥にのって前に出てくる小集団がいた。


「あれはなにしてるの?」

「舌戦ね。ああやってお互いの正当性を言い合うのよ」


 上空だと聞こえないが。

 よくみると味方側は王様がでている。

 相手も率いている人が出ているのだろう。

 距離結構離れているがお互い聞こえているのだろうか。


 しばらく二人で眺めていると、ひとしきりがやり取りが終わったらしく、それぞれ後ろに向けてアピールすると。



 両陣営から怒号が膨れ上がるように発せられ、うさみたちにまで届く大きな音になって響き渡った。


「おおう……びっくりした」


 続いて、両者が動き始める。前に出ていた偉い人たちは、相手の方は手を振って味方を鼓舞しつつ味方に飲まれるように、王様たちは猛スピードで後ろへ下がり、味方に合流していた。


「さーて、それじゃあそろそろ再開しようか」


 赤い女戦士が肩を回しながらうさみに言う。

 このまま雑談で済ませられれば楽だったのだけど。

 うさみも改めて相手に向き直る。



「それじゃ、足場消すからね。さーん、にー」



 消した。

 消すからねとは言ったし。いちとかぜろで消すとは言ってないし。


 赤い女戦士は虚を突かれて驚いた顔をした後やりやがったなこの野郎みたいな口の動き方をしながらどっかん。


「うひゃん!?」


 その一方でうさみは悲鳴を上げた。

 なにかが足に巻き付いたからだ。


 見ると、足にひも状のものが巻き付いている。つながっている先は、赤い女戦士の片手だった。

 赤い女戦士がニヤリと笑ったどっかん。

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