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戦争初心者うさみ 76

「久しぶりね、“金花”」

「思ったより時間がかかったね」


 結局、七割さんこと、上司の黒檀と次の仕事の話ができたのは、元祖さんのアトリエに行くようになってから半月ほども過ぎてからだった。


「アトリエのアレは現状わが国の最優先事項の一つだから、むしろもっとじっくり取り組んでもらいたかったんだけど」

「だけど?」


 ごめんなさい、だいたい歌と踊りの指導をしてました。

 うさみは冷や汗をかきながら聞き返す。


 アトリエで役に立ったのは二日間くらいのもので、あとはおやつ用意したくらいで、宮廷魔導師たちと一緒に居た時間の方が長いなんて言えない。

 まあ、言わなくても把握しているだろうか。

 合間合間に顔は出していたので解呪砲改修が進んではいるものの、もうしばらくかかるはずだ。


 宮廷魔導師たちは三回潰された人が出て神殿から高位回復魔法の使い手を呼ぶことになったくらいで、他には特に問題もなく歌と踊りに習熟しつつある。

 歌と踊りに習熟してどうするんだろうと、とても思うがまあ今さらで。

 歌と踊りの訓練法に名前を付けてほしいと言われたので、アイドルマスタリィとつけたのは余談だ。ツッコミはなかった。

 一応魔法行使に関する技術も上がったようで喜んでいたし、よかったのだろう。

 今後も自分たちで続けるそうで、まあうん。


 さて。


「時間切れでね」

「もう戦争始まるの?」


 事前に話に聞いていた予測時期のはもうちょっと先だったはず。

 何かの要因で早まったのだろうか。相手があることだし仕方がないのかな。急にスケジュール変わるとか迷惑だな。納期……。

 と、うさみは思ったがそういうわけではないらしい。


「決戦の時期はまだ予測から外れてないわ。あっちの招集が始まったの」


 戦争するには兵士が必要である。

 強い人がいってどーんと吹っ飛ばせば戦争が終わるかというと、そういうわけではないらしい。

 強力な戦力はお互い牽制合戦となり、よほどの個人戦力差がなければ結局のところ手札の一枚としての兵力をぶつけ合うことになるのだそうだ。逆によほどの戦力差があれば蹂躙になるのだが。


 さらに、戦争に勝って得るものの確保と維持の問題がある。

 街を破壊してしまうと得られるものが少なくなるし、非戦闘員が大勢いる街を制圧するには人手が必要だ。

 少数で見張ろうとしても離散を招き、離散した民は生きるために賊として居つくことになる。


 こういった背景から必要十分な数の兵士を招集する必要がある。

 そして小国とはいえ首都を制圧しようというのだから、相応の数が必要になる。

 大勢動かすのであれば時間と、ついでにカネと食料が必要になるのだ。


 人を動かすために時間が必要で、金と食料を動かすにも人が必要なので、規模に合わせてどんどん膨れ上がる。


 要するに、戦争は直接戦力がぶつかる前に準備があって、その準備が始まったということらしい。



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