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戦争初心者うさみ 68

「と、いう帝国が攻めてくるのは、褒賞にあてるためでな」

「一体で最も強力な魔物が生息するドラゴンの山と接する帝国は、対魔物戦線を手放すことが出来ず、また戦力の育成を行っているのだが、そうやって上り詰め最前線で活躍したものへ与えるものが必要なのだ、と長様はおっしゃっている」


 ドラゴンの山。

 ドラゴンはこの世界で一番強い生き物といってもいいかもしれない生き物だ。

 わりと世界中に棲息していて、ドラゴンの棲家の近くは攻撃的かつ強力な魔物が多い傾向にある。統計を取ったわけではないが、それなりにあちこちに出かけているうさみの経験上、そんなかんじだ。


 まあドラゴンは基本的には自発的に人類に関わらないことが多い(これもうさみの知る範囲内のことだが)ので、とりあえず置いておくとしても。


 危険地帯に対する最前線の維持にかかる負担は大きい。

 一国の全員が頑張っている状況ならまだいいのだが、安全な土地を手に入れた後ではどうか。

 そして安全な土地の方が多くなってきたとしたら。


 帝国が拡大して安全な地域を得たからこその問題として、この負担の格差がある。

 危険な場所で戦い続けているものと、安全な場所で生活するものが居れば、前者は不満を持つだろう。


 帝国を維持するためには、この問題への対処は必須である。

 何らかの形で特別扱いすること。

 ただし、例えば特別低い身分である奴隷階級を作って戦わせる、とかだと危険だ。

 この世界で強い敵と戦いというのはすなわち生きのこれば強くなるということなのである。

 下に置いたものが強くなるような構造だといつひっくり返されるかわからない。



 まあ簡単なのは、特別なご褒美である。

 帝国は拡大してきた国だ。

 新たな土地を手に入れてきた。

 じゃあその土地を配ればいいじゃん。


 そしてそういう慣例ができてから時間が経ってあんまりポンポンあげられなくなる。


「じゃあ一撃で全部滅ぼさないのはわざとなのね」

「そうだ。周辺国の領地を切り売りしておるのよ」

「といっても、我がカ・マーゼは次ですべて失うという見立てなのだがなと長様はおっしゃっている」



 まあはた迷惑な話ではある。


 破綻のタネが見えているが、まあそれは解決しようがしまいが関係ないので、これも置いておくとして。


 侵略される側にとっては、そんなん知らんわこっち来んな、ってなもんである。


 もっとも、同じことは紅の森の立場でもいえるので、まあろくでもない連鎖だ。


 うさみは世の中は不条理だなとため息をついた。

 それくらいしかできることがなかったからである。

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