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戦争初心者うさみ 66

「三千年前?」

「話が違わんかな」

「なんやうちの娘が嘘ついとるゆうんか」


 養親子仲がよさそうでよろしい。


 エルプリが語ったのは、昨日うさみが聞いた話である。

 つまり、魔剣死紅が三千年前に預かったものだということ。

 実際のところ、三千年前となるとエルフにとっても結構な昔だ。単純に寿命から考えれば、人族にとっての三百年以上昔に相当する。

 ごくごく一部の例外を除けば当時の人は生きていないし、世代も重ねている。

 そのため、詳細部分は省かれ、要点を含む一部の情報のみが言い伝えられていた。



 三千年前に不死の魔王による世界の危機があり、勇者が魂を喰らう魔剣死紅をもってこれを討伐した。

 魔剣死紅は魔剣の名の通り危険な物なので人界に置くことを案じた勇者によりエルフに預けられ森に封じられる。

 再び不死の魔王が生まれたら当代の勇者に授けるべし。



 だいたいこの程度の情報量で、例えば勇者が魔剣死紅をどうやって得たのかとか、そういう話は残っていない。

 調べようにも古い話過ぎて、建国が五百年前のカ・マーゼ王国には資料があるとも思えない。

 あるいは神殿方面にあるかもしれないが、あそこは何でも神が授けたと記録したりするので信憑性に欠ける。


 ただまあ、これらの情報があるということと、これらの情報しかないということは魔剣死紅で解呪砲を撃つために十分役立てることはできる。

 若干の懸念事項はあるが、解呪自体がうまくいき、魔力の攻撃への転化部分が完成すれば、つまり根本的な機構部分には問題ないと思われる。



 というわけで、宮廷魔導師長とエルプリを連れ込んだ時点でうさみの仕事は大体終わりであると思う。

 エルプリはちゃんと仕事できていたからあとで褒めてあげなければならないだろう。

 それ以外にはなにかあるかな。


 鎧に護衛されながら去って行くエルプリと出オチ伯を見送りながらうさみが考えていると、この部屋のトップツーが寄ってくる。


「先生ありがとうございました! でも先に教えてくれてもよかったと思います!」

「今日そんな暇なかったじゃない」


 なかったなかった。あったかもしれないが。先触れからすぐに来たのは事実だし。


「そんなことより先ほどの茶はどこで手に入れた」

「定期的に入手したいと長様はおっしゃっている」

「自作だけど仕事終わるまでにレシピ用意しとくよ」


 応接スペースの片づけをしながら、言葉とは別のことにに頭を回転させているように見える元祖さんと宮廷魔導師長をあしらう。

 今聞いた話に対して思うところがあるのだろう。

 それはうさみもそうなのだ。


 なので昨日話を聞いた時から改めて気になっていたことがぽろっと出てしまった。


「本人いなくなったから聞くんだけど、実際のところ紅の森のエルフは何で攻められたの?」


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