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うさみすぴんなうとAW  作者: ほすてふ
戦争編

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戦争初心者うさみ 51

「で、つまり、どういうことでしょうか!」

「もうちょっとだけ続くんだ」



 神聖魔法は、神様の事跡を真似することで、その力の一端を振るうものだ、というのがうさみの見解である。

 もちろん、人類には神様のまねっこしてもそれこそままごとみたいなものなので、効果は極めて限定的なはずなのだが、神様の事跡とはすなわち世界に記録された法則でもあるため、比較的世界に受け入れられやすく、人類から見ると破格の効果をもつ。怪我や病気を癒すとか。

 神聖魔法の究極は、いずれの神様の神官であっても“神降ろし”もしくは“神召喚”であるので、自身を神様に見立てるか、そこに神様がいると見立てるかというのが基本的な姿勢なのだろう。


 続いて、ただ魔法と呼ばれることが多いいわゆる魔法の場合は、もとは神聖魔法から別れたものだ。

 信仰心とかなくても力を使えることに気づいた一派が分離したっぽい。

 この辺のことは昔過ぎてはっきりしないが大体そんな感じだろうと推測する。


 神話のなかに、神様が人類にその力の一端を授けるくだりがある。

 この世界の人類には魔法を使う素養が初めからあったのだ。

 もちろん神様と比較すると矮小なものだが、将来性だけは保証されていた。

 力を授けられたのが、神様の仕事の一部を代行するためだったからだ。

 逆説的に、代行に必要なだけの力を得られるということである。


 神様への信仰心を優先する神殿と、魔法使いたちに分かれたわけだが、両者の競争の結果は歴史が証明している。

 古代魔法王国だ。

 世界の大半を支配したというのはそういうことだ。


 だが単純に神聖魔法が弾圧されたわけではない。

 神聖魔法と呼ばれていることからわかるように、魔法使い側は神殿が使う技術を魔法の一種と位置付けている。

 お互い煙たく思ってはいたが少なくとも魔法王国は神殿を滅ぼす必要を認めていなかったのも事実だろう。


 そして次に生まれた錬金術。

 これは先に述べた通り、魔法に匹敵するほど繁栄していると言っていい。

 とはいえ、衰退した魔法と匹敵、である。

 将来性はともかく、先人の遺産を使い放題の魔法を超えるのは難しい話なのだ。

 新しい技術は、世界の法則を利用できない点で有利であると同時に不利なのだ。


 今までの魔法でできなかったことでもできるかもしれない、という可能性。

 それなら魔法でいいじゃん、という考え方。


 その結果が両立だったわけだ。


 そして実際のところ、どっちでもできることは非常に多い。

 場合によっての有利不利はあるにしても。

 競合他社である。

 なので基本的には仲が悪い。


 一方で、有利不利やどちらかしかできていないこともあるということは互いに認知しあっている。

 錬金術の成果はすでに社会に食い込んでいる。

 魔力が少ない者でも扱える明かりとか。

 熱管理が簡単な魔導竈とか。

 魔法使いにも、自身の専門外の魔法を覚えるよりは錬金術製品を買うというものが増えていくだろう。



 さて、これらの三つは、結局のところ同じものの別側面だ。

 魔力を介して何かすることを魔法と呼ぶなら全部魔法の範疇である。

 同じものならば、相互に応用することもできるだろう。


 しかし、それぞれのナワバリがあって両者の知識を得ることは難しい。

 とくに人族は寿命の関係もあって、一つのことを極めている間に死ぬことが多い。

 まあ長寿のエルフだからって一つのことをそんな極めているかというとそうでもないし、人族でも超長生きな魔法使いとかもいるのだけれど。






「あの見事な結界は、神聖魔法、魔法、錬金術の考え方を合わせることで生み出されたものだということですか!」

「見事かどうかは知らないけど、その解釈は大体あってるかな」


 神聖魔法を使えなくとも、神官やってた頃に覚えた神話についての知識はもっているし、魔法は身一つあればできるので趣味(時間つぶし)の研究に適している。錬金術も、知っていると便利なので多少覚えた。

 何度も人生を繰り返した結果でもあるし、長寿なエルフだからほとぼりを冷ますことに時間を使えることもあり、意欲さえあれば反目する勢力に頭を突っ込んで勉強なんてことも可能なのだ。

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