表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
261/494

戦争初心者うさみ 50

「神殿の奇跡と、魔法、錬金術が同じもの、ということを公言しては、どこからもそっぽ向かれますよ!」

「わたしがそうなって、何か困ることある?」

「……」


 さて。

 魔法の開発は、古代魔法王国の滅亡とともに多くが散逸したことで、大きく後退している。

 魔法とひとくくりにすれば簡単だが、高度な魔法は専門分野に分かれ、すべてを把握できるようなものではなかったと考えられている。

 単純に情報量が多く、きちんと理解するには時間がかかること。

 そして、重要なのが、知識がなくても魔法を使えるようになれるということだ。

 この世界で技術を身につけるには、そのものの知識よりも訓練法の方が大事なのである。

 世界初の技術でなければ。


 神話の中に、人類に対し『過去人類が身に着けた力を再現する』能力を与えた一節がある。

 (うさみはこれがゲームにあったスキル相当のものであると認識しているが、)神殿は神の加護であると主張し、魔法使いは世界の真理の発現であるという。


 それらの主張は置いておいて、実際にそういう現象が起きることは事実である。

 身につけたい技術、能力と対応する適切な訓練の知識があれば加護なり真理なりが働いて身についてしまうのだ。


 言ってみれば、道具(システム)の使い方が分かれば作り方を知らなくても運用できるということである。



 現代地球で例えていうなら、スマホの操作に習熟すれば必ずしも構造やプログラムに詳しくある必要はないし、運用する分には困らないようなものだ。

 だが本体やアプリの開発にはそれぞれの知識と技術が必要だ。


 仮に壊れないスマホがあり、その作り方が遺失してしまったとして。

 プログラミング技術があればアプリを作る者がいるだろうし、使い方ももちろん継承されていくだろう。

 さらにプログラミング技術が失われても、スマホ本体が使える限りは使い方は維持されるだろう。

 まあ壊れないスマホとか、少なくともうさみがいたころは夢物語だったけれども。


 だがこの場合、その道具は神の加護であり世界の真理が保証しているので壊れることはない。


 この例えのようなことが、古代魔法王国後の時代に起きたのだ。


 結果、魔法の発展は大いに滞る。

 とはいえ、最盛期の古代魔法王国が誇った無数の魔法を世界(システム)が保証してくれているのだから、魔法使いたちはそこまで困ることはなかった。

 研究開発よりも実践に傾いているが、散逸した魔法の再発見などの成果もある。



 そんな古代魔法王国後の時代に錬金術が生まれた。


 先にも述べたが神殿の奇跡こと神聖魔法と魔法使いの使う魔法、そして錬金術は根が同じものだ。


 そして神聖魔法と魔法があるにもかかわらず、錬金術が生まれたのは、これも古代魔法王国の滅亡が一つのきっかけである。


 王国時代の支配者に当たる魔法使いとは別の層が、研究を始めたのがきっかけだとされている。

 元は魔法の研究ではなく、世界における様々な現象から世界の法則を紐解こうという試みだったらしい。

 当然ながら魔力とそれが起こす現象にも着目され、錬金術と名がつく頃には魔力を使った道具なども作られるようになっていった。

 魔法との違いは、必ずしも魔法にこだわらないことと、研究の方向性が魔法とは逆、現象を発生させるのではなく、発生した現象の方を研究して、再現や利用法、応用などを探るのである。


 例えば何か目的があるとき、例えば背中の手が届かない場所がかゆいとき、魔法使いは背中を掻く魔法を使うことを考えるが、錬金術士は手元にある手段で背中を掻くことを考えるのだ。

 結果、魔法使いは背中を掻く魔法を使うか、知らなければ覚える。昔は開発することも考えただろうが、現在ではそこまでできる魔法使いは少ないのは前述の通り。

 錬金術士の場合は人に掻いてもらったり、棒を使って掻いたり、そこから思いついて孫の手を開発したりするのだ。


 こんな具合なので、錬金術士が魔法使いに匹敵する勢力になったのは当然と言えば当然の話である。

 新興で勢いがあった錬金術と、最盛期が過ぎてオワコンの魔法、とは言い過ぎかもしれないが。


 その上で、錬金術の方も今では魔法と同じような問題に突き当たっている。




 あと余談なんだけど、神殿は古代魔法王国時代にはすでに魔法使いと袂を分かっていたようだ。




「すまほ? ぷろぐらむ?」

「あ。その辺は忘れていいよ。うっかりだから」

「うっかりですね! わかりました!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ