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戦争初心者うさみ 42

 ある日、カ・マーゼ王国の上級貴族の王都邸宅が火事になった。

 駐留している私兵により無事消し止められたが、その際に現代地球でいうところのSMプレイ中の女性複数が逃亡、野次馬の前に姿をあらわし、保護を請うた。


 黒染めのレザードレスに鞭を持っていた彼女たちは自分たちが誘拐された被害者であることを公衆の面前で主張、まだ捕まっているものがいると保護と救助を求めた。


 火災の拡大を警戒し状況を注視していた衛兵隊がこれを保護。

 貴族私兵とにらみ合いになるも、偶然野次馬の中にいた近衛隊員が応援を呼集。

 迅速に集まった近衛隊が衛兵隊の指揮権を預かったうえで共同して踏み込んだ。


 未だ消火に手を割かねばならなかった私兵側は敷地内への侵入を許す。


 その結果、行方不明になっていた王都臣民数名と。


 隣国との内通の証拠が発見された。


 この情報は速やかに国王まで届けられ。

 当然、国王は激怒、その貴族の屋敷の接収を指示。これは実際には事後承諾であったが、正式に国王命令として発令され、踏み込んだ近衛と衛兵の行動を認めたことになる。


 さらに領地及び貴族位を召し上げ、家は取りつぶし、本人及び係累まで斬首という罰の執行……というところで他の貴族たちの諫言を取り入れた結果、頭を冷やした国王は斬首を取り下げた。


 国内屈指の貴族の改易が断行されたこと、内通の事実で王国貴族は動揺することになる。






「情報間違ってたよね。貴族のひと加虐じゃなくて被虐だったよ。ビックリしたよ。ブヒイとか言ってたよ」

「三割が出たわね」

「三割……」

「そういう趣味の道具を扱う商人が出入りしているのは確認できていたから、拷問する側だと思っていたのだけど」

「取引品目を調べれば判断ついたんじゃないかな」

「人手不足だったのよ」


 うさみは七割さんに愚痴をこぼしていた。

 嫌なことや今後思い出さしたくないことは愚痴として吐き出して忘れてしまうのがよい。ポイである。ポーイ。

 普段は一人だから一人寂しく独り言だが、今回はちょうどいい相手がいた。


 エルプリでもいいのだけれど、子どもに負担をかけるのもなんだし、内容がアレなのでアレだ。アレアレ。

 女王様としもべでプレイとか子どもに聞かせるような話ではないのだ。

 

 しかし女王様セット的なものをあれだけ仕入れているならそっちで噂になりそうなものだ。

 納入している商人の口が堅いのか。


 偉い人の倒錯した趣味とか、軽々しくは口にできないにしても、戸を立てられないゴシップである。

 実際にそういう業者が出入りしていたこと自体は確認されていたのならそれ以上のことも知られていてもおかしくない。

 事実に即したことならなおさらだ。


 しかし実際には最後の一線で真実は護られていた。

 加虐趣味と被虐趣味のどっちが名誉的にセーフなのかとか考えてどうということはないが。

 いや手が足りないとはいえ諜報組織が調べてやっとわかった情報が間違っていたのであると考えれば、話が違う?


 そもそも、七割さんたちは他国との内通をつかんでいたのだ。

 それくらい働ける人たちから、趣味の真実を守りぬくのは大変なことでは?


 とすると、商人も怪しく思えてくる。



「商人の方は押さえたの?」


 うさみは尋ねた。


 実行犯はすでに処理済みなのは知っている。

 また、問題の貴族はスピード改易。

 どう考えても事前準備ができていた。

 であればうさみが思いつく程度の見落としはしないだろうと思うが。


「あら。ええ、対処しているわ。口封じから助けてあげたから情報を吐いてくれてるところ」

「ふーん」


 やっぱり余計なお世話だったらしい。

 うさみは安心して考えるのをやめた。

 七割さんが何か言いたげにうさみを見ていたが考えるのをやめたから知らない。

 忘れるのだー。

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