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うさみすぴんなうとAW  作者: ほすてふ
おっぱい編
210/494

おっぱい初心者うさみ 6

 魔王ブラジャーは瞬く間に三つの国を制圧した。


 制圧された国ではブラの着用が義務とされ、またブラの製造のために地属性魔法を普及させられ、食料、綿花の生産が増加。

 布ギルドは解体され、職を失った者は強制的に新設された繊維工場へと送り込まれることになった。


 ブラの生産のため、女性は体系を綿密に測定され、統計資料として記録される。

 そのために度量衡も統一された。


 さらにブラは選べなければならないという魔王の命令に従い、新たなブラが開発されていく。

 色や使う布の工夫、形状の工夫、装飾の工夫。

 魔王ブラジャーからもたらされた知識をもとに様々なブラが開発された。


 さらにはブラは毎日洗濯することという恐ろしい命令が出る。

 人々にそれほどにブラを維持する経済力はなかった。


 そこで魔王ブラジャーはブラ支給券を配布すると同時に、製糸、織布の自動化に着手。

 魔導式の紡績機と力織機を開発、しかしこれは魔力供給に難があった。

 仕方がないので地属性に限らず、魔法の素養があるものを集め、恐ろしい訓練を施した。

 この訓練を受けた者はいつしか“乗り越えた者”と呼ばれるようになる。

 乗り越えた者たちはその内容を語らない。尋ねてもただ、恐怖に震えるのみだった。

 だが膨大な魔力を扱えるようになり、魔導式機器への魔力供給を担うことになる。


 また、魔族をも巻き込んだ研究開発が実り、人造魔石が流通するようになった。

 この生産にも魔王ブラジャーによる訓練を受けた者が大きく貢献した。


 魔導式機器を背景とした大量生産に、人造魔石という新技術。

 さらに農業用魔導式機器も開発、導入されることとなり、多くの人が職を失った。


 職を失った者はまた、製糸、織布、魔導式機器製造のための工場へと送り込まれる。

 魔王ブラジャーは人、そして魔族の命を奪うことは良しとしなかった。

 ブラを付ける人口が減るからだ。


 逆に人口を増やすため、職場を男女混合にしたり、らぶほてると命名された連れ込み宿が多数設置された。

 このらぶほてるにはなぜかベッドが回るなどの魔導式機器まで導入されている。


 そして産婆を招集し、秘伝をむりやり吸い上げ技術をまとめ、編纂。サンフジンカ学院という産婆育成機関を設置した。


 挙句の果てに、職場という職場に育児休暇制度の導入を義務付け、あまつさえ給与補償をせよと命じる。

 働かないものに賃金を払えという無体な命令に、大いに反発があった。


 しかし、逆らうものは人類魔族問わず魔法的に制圧され、ブラのみ着用の上晒しものの刑に処せられた。

 男もだ。


 なんと恐ろしいディストピア。

 後に言う魔王ブラジャーによるブラ至上主義政権である。








 魔王ブラジャーが生産拠点を整えるために足を止めている間、人類は対抗すべく足並みをそろえて……いなかった。


 魔王領へ潜入させた斥候からの情報によると、ブラを強制される以外には虐殺が起きているわけでもなく、元の政治組織はそのまま、傀儡としてではあるが存続していた。

 多くのギルドは崩壊しているが、失業者には仕事が与えられて、飢える者はいないという。

 むしろ景気が良いとさえいえる。


 この情報を受けた各国はバラバラになった。

 魔王ブラジャーをナメる国もいれば脅威を訴える国もいる。

 人類を滅ぼそうとする存在であった魔王としては、魔王ブラジャーはあまりにも生温かった。

 中には魔王領と秘密裏に手を結び、安価な布やブラを輸入する国もあった。


 魔王領から人類国家へ流入した安価な布は、輸入した国家の繊維産業を駆逐した。

 綿布に押されて綿布以外の布も安価になっており、人類側の技術では量産・効率化によって十分の一以下まで値下がった布にまるで太刀打ちできなかったのだ。

 その結果、輸入した国家は布の供給を魔王領に依存することとなり、失業者が増え、二の舞を恐れた他の人類国家に高い関税をかけられた。

 国王は責任を問われた上、クーデターにより処刑され、次の政権は布の輸入の差し止めを訴えたが、すでに安価な布とブラに慣れてしまった国民はこれを拒否、さらなる反乱を呼び大混乱となった。


 そんな状況の中、魔王領に隣接していない国が、ブラ禁止令を発令。

 魔王ブラジャーがブラを推進する以上、ブラをするものは人類の敵である。その証拠にブラ(布)を輸入した国はあんなことになった。ゆえにブラは禁止する。

 と、こういう理屈であった。


 魔王ブラジャー出現以前からブラの販促は何年もかけて進められており、それ故ブラを身に着けているものもいたのである。



 翌日、その国は魔王領になった。



 国王及びブラ禁止令に関わった者たちがブラ晒しの刑を受けた。

 レースで縁取られた可愛らしいデザインのブラだけを身に着けた中年のおっさん。

 黒と紫のセクシーなデザインのブラだけを身に着けた髭のおっさん。

 なにこれ紐? と言いたくなるようなブラだけを身に着けた筋肉質なおっさん。

 などなどが国民の前にさらされたのである。



 この事件によって魔王領に隣接していない国も安心できないことが判明し、人類国家はさらに混乱。

 魔王ブラジャーは正式に隣接各国にブラの輸入と導入、そして人類世界に普及させよと要求し、膝を屈する国も出てきてしまう。


 魔王ブラジャーによる暗黒時代の幕開けである。

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