おっぱい初心者うさみ 3
売り出した。
まず、事前に用意した木綿の販路を伝って服飾職人に顧客を紹介しようとしてもらって断られた。
断られた。(二回目)
「偉い人が使えばみんなも使いたくなる」
そう狙ってのことだったが、偉い人に繋がりがあるような職人は取引実績二十年程度では便宜を図ってくれなかった。
そんな簡単に紹介などできないと。
新しいものを自分の紹介で広めようとされて失敗したら首が飛ぶと。
あと偉い人はコットンなんか使わないと。
絹とか。あと魔法で追った特殊の布とかでなければ受け入れてもらえないという。
売り込みの初手で失敗したので方針を変えた。
数が多い一般人に売り出すことにして失敗した。
ここで値段が問題になった。
地属性魔法使いを使って栽培する必要がある綿花がまず高い。この問題は解決していなかったのだ。
一時的に協力者を酷使して安く済ませることは不可能ではない。
しかし、うさみは、うさみたちはブラの普及を目標としているのだ。
長期的に低価格で供給できなければ普及なんて夢のまた夢である。
そもそも身分が低い人たちは服を一年に一回とかしか替えなかったりする。
根本的に布が高いからである。布を加工して作る服ももちろん高いのだ。
まず大事なのは食料だ。食べられないと死ぬ。そういうレベルなのだ。
食べ物を手に入れようとすると服は二の次になる。
なんでそんなになるかというと、まあ要するに貧乏なのである。
そんな状況で新しいものを、購入しようとはならない。
できない。
しかもブラは下着だ。消耗品である。いざという時のため、勝負用に用意しておくものもあるが毎日洗うべきものだ。
……という認識まで売り込まなければならない。
売り込むべき対象が貧乏ではかなわぬ夢である。
お金持ちには売り込めない。
貧乏人は買えない。
この状況を打開するにはどうすればいいか。うさみは考えた。
「貧乏人がブラを買えるようにしよう」
お金持ち、というか身分が高い人を相手にするのは難しいし面倒が多い。
なので下から。
最初の方針とは真逆である。
上流階級向けの職人にぼろくそにダメだしされたのがまだ尾を引いていたのだ。
アプローチは二つ。
ひとつは収入を増やすこと。
もうひとつは価格を安くすることだ。
これは両方できればなおいい。
そういうわけで、まず農家の人に地属性魔法を教えて回った。
地属性魔法も教えたし、地属性魔法使いの育て方も教えた。
地属性魔法を育てる組織も作った。
これによって食糧生産高を高め、農家の人の収入を増やそうという狙いである。
一気に増えてしまうと豊作貧乏になる。
豊作貧乏というのは農産物が出来すぎて価格が暴落しお金にならなくなることだ。
そうなると売れないし売れてもはした金にしかならない。農家の人にとって地獄のような事態。
地球時代、お爺ちゃんから実体験を聞いたことがあったうさみは、この問題に対策を用意していた。
綿花の栽培である。
食料生産が増えた中から一部を転作させたのだ。
綿花の栽培には地属性魔法使いが必要。
農家の人を地属性魔法使いにしたわけなので、綿花も栽培できるというわけだ。
そして転作により食料が増えすぎず、さらにコットンの量産の助けになる。
そうなるとコットン価格の低下にもつながるというわけである。
食料は今までと同じかちょっとたくさん売れる。
綿花は今まで栽培していなかったものが商品になる。
合計すると、収入は大きく増えることになった。
収入から税金や食費など最低限必要な費用を除いた可処分所得で考えると、場合によっては十倍とかそれ以上に増えることになる。
さらに地属性魔法使いを量産したことで地属性魔法の希少性が低下し、地属性魔法の相場が安くなった。
これが、さらにコットン価格の低下に貢献。
相乗効果というやつだ。
その結果。
魔法使いギルドと対立した。