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第1章 2話

主人公の秋本くん。

名前はまた後ほど出てきます。

 目が覚めました。

 周りには木、木、木。

 なんというあるある展開。もはや森の中からしか始まらないんじゃないの? そんなことないか。


 ともかく、遂に僕は異世界にやってきた。

 何の確証も無いけど、多分ここは異世界だね。木の葉っぱが知らない形してる。というかでかい。僕よりもデカいってどういう事? 僕、身長160センチちょいしかないとはいえ……。


 ……。


 いや、考えるのはやめよう。

 思考停止は良くないけど、これはどうにもならんよね。


「う……んぅ。空気は澄み渡ってていいねぇ。どこかの都会とは大違いだね」


 大きく伸びをして、新鮮な空気を肺に取り込む。

 地面を観察すると、踏み締めれば靴がすぐにめり込み、柔らかさと湿り気からとても質のいい腐葉土ということが分かる。


 これがあったからあの木のサイズ……?

 ダメだ、すぐに思考が逸れるなぁ。


 頭を振ってそれを片隅に追いやる。


「……ん? 鎌はどこに……? 身を守る武器選べとかいってすぐに渡さないとかどゆこと?」


 周りを見回しても、どこにも鎌はない。

 どこかのゲームの如く、森の中の台座にでも刺さっているのだろうか。


 うーん。


 平和ボケした日本人には辛い現実なんだなぁ。

 サバイバル力なんてあるわけないし。当然知識もないし。


「どうしよっかなぁ……」


 食料確保しないといけないし、無理に動き回るわけにも行かないからここを拠点にするしかないし……。


 地面ほって目印にして、線引きながら移動して迷わないようにして、んでもって食料確保しながら落ち葉集めて寝床を作って……。


「ま、何とかするしかないか」


 頭の中でやることをまとめ、近くに落ちていた大きめの枝を手に取った。


 ◇◇◇


 日が沈みかけてきました。

 いやー、あまり木が生い茂ってなくて良かったね。真っ暗だと僕耐えられない。


 とりあえず、木に登って色んな木の実を集めました。クソデカな木だけど凸凹してるので登りやすかったです。


 今、僕の周りには僕の体を丸々隠せる、量はテント2個分くらい。

 その周りには、僕の膝くらいまであるでっかい丸い物体……木の実ですね、はい。

 他にも小さい木はいくつもあったので、それだけでも沢山足元に転がっている訳だが。


 んで、木の実がある木に目印付けて、そこまでの道のりに線引っ張って来たから食料が尽きても何とかできるようにはなったかな。


 季節が秋っぽくてホントに助かる。

 別に葉っぱが赤くなる訳でもないので落ち葉の量と木の実のなり具合で判断してるんだけど。


「暗くなってきたし、木の実食べて寝るとしますかねぇ」


 こんなに動いたのはホントに久しぶりだ。

 元々運動なんてほとんどしてなかったのに、これだけ動いて、あー疲れた、で済んでいるのは体をこの世界に適応させてもらったからかな? とっとと鎌よこせ。今のうちに使い慣れてないと怖いだろうが。


 朝起きたら目の前に鎌が転がってるとかないかなー。


 zzZ……。


 ◇◇◇


 起きました。

 朝です。周りが明るくなっております。


 小鳥がちゅんちゅん鳴いております。


 ……嘘です、なんかクソでかい鳥が空飛んでます。

 キョエェェェ、とかピィィィィィ、とか叫んでます。それはもう全力で。


 でも多分、全力に聞こえるだけであれが通常運転なんだろうね。怖い怖い。


 え?

 僕は当然落ち葉の寝床と木の実の影に隠れてます。

 あんな鳥に見つかったら冗談抜きで食べられそう。


 しばらく待つと声が聞こえなくなったので、もぞもぞと寝床から這い出し、木の実をもしゃもしゃと食べます。


 毒? 知らんな。

 ……まぁちょっとは厳選してます。美味しそうな匂いとか甘い香りがしてるものとかは基本集めてないよ。

 ほら、美しいものには棘があるっていうじゃん? 基本、甘い匂いで誘って食すとか当たり前の罠だからね。あまり美味しくなさそうな匂いしてる奴集めました。


 味? クッソまずい。



 食べ終わったので今日の予定を考える。

 昨日は拠点から北方向に向かって調べたので、今日は南側に行こうかな。水源がないと水分不足で死にそう。木の実で何とかなってるけど。


 方角は僕が勝手に決めました。最初に目が覚めた方向を北にしました。異論は認めません。唱えてくれる人もいません。悲しいです。嘘です、意外と楽しいです。


 そんなわけで、便利そうだと思って登った時に毟ってきたでかい葉っぱを袋の代わりにして、木の実を詰めてます。


 南にまっすぐ歩いてると、なんと目の前に川がありました。体感でおよそ1時間半。

 結構歩いたなぁ。見つかったのは凄く嬉しい。


「みっず、みっず」


 ……ん? あれ、僕は何を呟いているのだろうか。

 わからんねぇ。1人になると意味わからん独り言も増えるのだろうか? 僕はあまり独り言言わないタイプだと思ってるんだけど。


 後のことは何も考えずに、川に顔を突っ込んで水を飲みまくる。

 病原体? 細菌? そんなもの気にしません。女神……いや、この体を信じてます。


 ……うーん、ちょっと鼓動が早くなった気が。

 頭を心臓より下にしすぎたかな? ほっといたら治るか。



 川で喉を潤し、ついでに体を洗った僕は、とりあえず川で出来ることを試した。


 水温は、温すぎず冷たすぎず。凍えるほどじゃないので良き。

 水質に関しては知識がないので、透き通っていて綺麗で、体にあまり害はなさそうってところ。

 この川の水深は僕の太ももが半分浸かるくらい。

 見た感じ魚は居ない。お魚食べたい。


 他にもわかったことがいくつか。

 1つ目は、僕が毟ってきた葉っぱは、どうやらかなり吸水性が良いらしい。

 体を拭く時に、かなりモミモミしたから繊維がボロボロになって使い物にならなくなるかと思いきや、ほとんどピンピンしてました。水を吸って少ししなっとしてたけど。


 それと、腹が減ったので木の実を食べながら川の水を飲んだら、木の実がすごく甘くなった。



 いやー、身の回りに便利なものが多くてほんとに助かるねぇ。

 文明の利器に頼りすぎてたからストレス溜まりっぱなしにならなくてホントに良き。





 ……あれ? 鎌、いらなくね?



 ◇◇◇


 そんなこんなでまた日が暮れそうです。

 川での実験のあとは、まぁ木に登って遠くを見回してみたり、更に葉っぱとか(つた)とか木の実とか集めて、現在は拠点にいます。


 そろそろ火を起こしてみようかな、なんて思ってはみたものの、まだ身の安全は確保出来ているわけではないので、不用心に目立つ行為はしたくないのでやめました。


 ここから北には一面森景色。緑一色で木しかない。

 南は、川があったところで木が途切れていたものの、その奥はまたしても木、木、木。

 東と西にはこれまたデカい岩山がそびえている。東は白いが、西はちょっと茶色っぽい。


 今朝見かけた鳥は、ここら辺に縄張りを張っているのか、東の山から出てきてはフラフラと飛び回り、たまに地に降りたりもしているようだが……遭遇したくないねぇ。



 今日も色々と動き回ったなぁ。昨日ほどではないがもう瞼が重くなってきた。

 木の実食べて寝るとしましょう。


 zzZ……。


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