05 ボスと新たなるダンジョン
「うわぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーー」
俺は今絶賛墜落中だ。
このままだと墜落死だな。何とかしないと。
う~ん。刀を壁に刺して勢いを殺すか・・・
「薄刃流古武術 壱の型 剛破静陣剣 」
俺は横の壁に向けて、基礎の技を放った。
すると、刀の先が何とか硬いダンジョンの壁に刺さった。
「ふぅ」
何とか落下スピードを緩めれて一息つくことができた。
そして底に着地することができた。
「これからどうしよう・・・・」
俺は途方に暮れた・・・・。
脳裏によみがえるのはこちらに向かって叫ぶ麗とティアラ。そして仲間たち。
なぜこうなった・・・・
まさかあそこであんなことが起こるなんて・・
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初心者ダンジョンに潜った今日。
俺たちはレベルが全員5以上になったことを確認して、仕上げにボスを倒しに行った。
初心者ダンジョンのボスは、ゴブリンの1.5倍くらいに強くなっているホブゴブリンだ。
一体しか出てこないし、取り巻きはゴブリン5体だけなのでとても簡単に攻略可能だそうだ。
「では行くぞ!お前たちの成長を見せてもらうぞ」
俺たちは武器を片手に、ボス部屋に突入した。
「俺がホブゴブリンを倒す。みんなは周りのゴブリンを相手にしてもらえるか?」
「わかったわ。でも、気をつけなさいよ。いくら武術を習っていたからって、
死ぬときは一瞬なのだから」
「了解!!」 「ダンジョンから帰ったら、昨日の返事するから。麗・ティアラ」
「え、えぇ。楽しみにしておくわ」
(きゃ~~~~~。返事ですって~~。どうしよ、うれしいような、不安なような・・・)
「しっかりしなさい。私。今は集中してゴブリンを倒すのよ」
そう言って、ティアラは飛び出して行ったのであった。
俺はゴブリンたちに向かっていく成長した仲間たちを笑顔で見送った。
「さて、俺も行くか!! おい、ホブゴブリン!
お前の相手は俺だ!!行くぞ」
「グガァァァァァーーーーーー」
俺は突っ立って、こちらに突進してくるホブゴブリンを見つめていた。
「危ない!!!!!」
仲間たちの声が響く。
あと少しでホブゴブリンが振り上げる大きなこん棒が当たる!!と誰もが思ったとき、俺はすでにホブゴブリンの後ろに立っていた。
ホブゴブリンの頭があった場所から緑色の血が噴き出している。
「ふう・・・」
やけに弱かったな。まあゴブリンの強化版ならあんなもんか。
ひとり納得していると仲間たちが近づいてきた。
「お疲れ~。アマトー」
「一撃で倒すなんてすごいじゃん。かっこよかったよ」
「ああ、お疲れ。麗にティアラ、それに花蓮ちゃんと紗雪ちゃん、裕美ちゃん、舞彩ちゃん、美空ちゃんも」
「みんな、いい動きをしてたよ。低ランクの魔物ならもう余裕だね」
「えぇ、みんなあなたの隣で戦いたいから頑張っているのよ」
「ん?それってどういうこと?隣・・・戦う・・・?
あぁ!わかった。つまり俺一人に戦わせたくないんだね。
みんなやさしいな~。ありがと」
(ちょっと・・なんでこいつこんなに鈍感なの?呪いでもかかっているわけ?
みんな遠回しにあんたのことが好きだって言っているに・・・・・・・・・)
(ありがと。ティアラちゃん。でも大丈夫。これからは私たちも積極的に頑張るから)
(そう・・ごめんね。頑張って。応援してるから・・)
(うん)
女の子たちが何かひそひそ話してる。
騎士団の人たちもやってきて、そろそろダンジョンから出ると伝えてきた。
「そろそろダンジョンから脱出する。ボス部屋の奥に転移魔法陣があるはずだ。
転移魔法陣とは、ダンジョンのある一定の場所に配置されている魔法陣だ。
効果はダンジョンの入り口に魔法陣の中に入っている者を飛ばしてくれる」
「では、行くぞ!」
このとき俺はまだこの後起こることを予想できなかった・・・・・
「転移魔法陣発見しました」
「ご苦労。では、帰ろうか・・」
騎士団員とチームメイトが魔法陣に入ったその時だった。
魔法陣に向かって歩き出した俺の足元が突然光ったと思ったら、唐突に崩壊した。
「な、なんだ!!!何が起きている!!!
新しいダンジョンだと・・。地下にまだダンジョンがあったのか・・・?
それよりアマト殿ーーーーーー。」
「アマト、アマトーーーーー。」
「「「アマト君-----」」」
みんな俺に向かって叫んでる。
だが俺の体はすでに宙にある。こりゃだめやわ。ごめん、みんな。
絶対に生き残って帰るから待っててくれ。
そして、冒頭部になるのだった。
次回から主人公は地下ダンジョン。
通称:冥王ダンジョンを攻略することになります。
お楽しみに!!!!