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プロローグⅡ ~出会い~

時は、3時間前にさかもどる。

じりりりりりーーー!

俺は目覚ましの音で意識を覚醒させた。

時刻は5時過ぎだ。俺はささっと服を着替えると家から飛び出した。

もちろん戸締りはきちんとしてる。俺は3年前から毎朝ランニングするようになっていた。思い出せばもうあれから3年もたっているのか・・と感慨深くなる。3年前のあの日、俺はふと目が覚め、なんとなくランニングに出かけたのだった。

家から3キロ離れたスーパーの前を通っていたときだっただろうか・・俺の目に、朝早くからランニングしているおじいさんが飛び込んできた。

おじいさんの名は「九龍クリュウ 武丸タケマル

後に俺に古武術を叩き込んでくれる師匠である。

その日、走っている俺に元気のいいおじいさんが横に並びながら話しかけてきた。

「おはよう。若人わこうどよ」

「あ、おはようございます」

「お主はなぜ走っておる?見たところ中学生ぐらいであろう?」

「ええっと・・・なんとなくですかね。今日は早く目が覚めたので・・・」

「ふむ・・・お主、何か悩んでおるな?」

「えっ・・なぜわかるんです?」

天翔は、なぜか自分が悩みを抱えていることに気付いたおじいさんに驚いた。

「ふぉふぉふぉ。お主の横顔が昔のわしにそっくりだっただけじゃよ」

「失礼ですが、おじいさん。俺は、「榊 天翔」と言います。できれば俺の悩みを聞いてもらえますか?」

天翔は、見ず知らずのおじいさんになぜか悩みを打ち明ける気持ちが浮かんできていた。だが、おじいさんに言うつもりはなかった。なのに、気付いたら口にしていた。おじいさんは、顔いっぱいにうれしそうな表情を浮かべ言った。

「もちろんじゃとも。若人の悩みを聞き、導いてやるのもまた老い先の短いこの身の使命じゃろう」

内心焦っていた天翔は、おじいさんの言葉を聞き、安堵していた。

おじいさんは言った。「そうじゃのう・・わしの家に来るか?ここじゃ、落ち着いて話せれんじゃろ」

「いいんですか?ぜひともお願いします」

そうしておじいさんと二人、走っていったのであった。

・・おじいさんの家の前・・・

「ここですか・・・道場?」

「そうじゃよ。自己紹介がまだだったのう。わしの名前は「九龍 武丸」

薄刃流古武術 三代目師範じゃ」

天翔は、驚いた。元気のいいおじいさんだと思っていたら、師範代だと・・・。

「さあ、来なさい。案内しよう」

「そこに座りたまえ。お主の悩みはなんじゃ?」

天翔は、大きく息を吸うと静かに話し出した。

「ふむ・・。お主は、学校でいじめを受けていると。成績もよいし、運動神経もいい、さらに器量もよいのになぜじゃ?」

それは・・・。

天翔は半年前の事故について話し出した。

それは、雨の日だった。

夏休み半ば、両親と天翔はキャンプに行っていた。その帰り道である。

夜の高速道路。雨で視界の悪い中、家への帰路についていた。

中学1年生だった天翔は、疲れから車の中で寝ていた。そして、事故は起きた。

対向車線からトラックが飛び出してきたのである。運転席と助手席に座っていた両親は即死。後部座席に寝ていた天翔は、頭を10針縫う大けがだった。

仲の良い家族に起きた痛ましい事故、この日を境に元気で人懐っこい天翔は鳴りを潜めたのである。

天翔のもとに残ったのは、両親の保険金と貯金。

お金がたくさんある天翔のもとへは、親族を名乗る人たちがたくさん訪ねてきた。

天翔が人間不信に陥るのにも時間はかからなかった。

夏休みが終わっても、家に閉じこもり続ける天翔のもとに一人の少女が訪ねてきた。その少女の名は、「高梨 麗」

隣の家に住む、幼稚園のときからの幼馴染である。

天翔は、彼女とは事故の前のように接することができた。天翔は彼女の説得により、学校に復帰することができたのであった。

しかし、彼女以外には前のように接せれない天翔。話しかけてもろくに返事をしない。遊びに誘っても来ない、天翔がいじめの対象になるのに時間はかからなかった。さらに、幼馴染の麗が甲斐甲斐しく世話を焼くことが男子たちの嫉妬を買い、いじめに拍車をかけた。

麗の容姿は、モデル並みに整っている。

中学生の女子にしては、高い身長(165㎝)・少し切れ長の瞳・すらっと伸びた脚・何より自己主張の激しいお胸様がある。さらに、成績もいい。

神は二物を与えずと言うがこの少女を知る人は、「その言葉は嘘だ」と主張すること間違いないであろう。

その少女が天翔に甲斐甲斐しく世話を焼くのである。

そりゃあ、いじめにも遭うだろう。と天翔は語った。

おじいさんはその話を静かに聞き、しばらくしてうなづいた。

「天翔よ。わしの道場へ通わんか?心根は優しいお主のことじゃ。

 麗君に被害がいかないように耐えてきたのじゃろう。

 じゃが、耐えてばかりだと心が壊れる。

 じゃからのう、わしが心と体を鍛えてやろう。主を暗闇から助け出してくれた少

女を守れる力をつけてやろう」

天翔は、幼馴染の少女のことを思った。そして、決断した。

「ぜひ、お願いします。師匠」

自然と師匠という言葉が出た。天翔自身、おじいさんのことを自然と敬うことができたからであろう。

その日から早3年。天翔は高校1年生になっていた。

相変わらず、人間不信であったが・・・。

3年の月日のうちに麗以外にも友と呼べる人ができた。

高校でも同じクラスの「早乙女サオトメ 騎士ナイト」と「水無月ミナヅキ 姫冠ティアラ」だ。

早乙女も水無月も超がつくほどいいやつらだ。早乙女はクラス全員と仲いいけど・・・。水無月は俗にいうツンドラ、いや違う。ツンデレだ。

普段は、俺を無視したりするけど・・俺がけがや病気したときは、一番に来て世話してくれる。

たまに、麗と水無月の間に火花が散っているように見えるのは気のせいだよな?

まあ、そんなこんなで高校生活をエンジョイできているだろう。

師匠には、感謝している。そう、師匠と言えば、薄刃流古武術を俺は、マスターすることができた。今も鍛錬はしているが・・・。

師匠との鍛錬は、とてもやばかった。まじでやばかった。

ある日、突然森に連れていかれ、1か月山籠もりさせられたり、クマと素手で戦ったり、無人島に置き去りにされたこともあった。

まあ、すべてクリアしてここにいる俺も大概だが・・・

そんなわけで今日も学校に来たわけだが、1限目中突然足元が発光。

「麗・早乙女・水無月!!」俺は、声を上げた。

俺の意識はそこで途切れた。












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