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12    宿探し

 

 「ふうぅぅーーーー」


アマトはギルドから出ると大きく息を吐きだした。


 「・・・・にしてもギルド長のおっさん、物騒すぎんだろ。

  あんなのが祖父だったらクリスティーナさんも結婚どころか、彼氏もできないんだろうな・・・」


アマトは前途多難なクリスティーナさんの人生に敬礼したい気分だった・


 (いやでも、クリスティーナさんがおじいちゃんなんか嫌い!!!って言えば何とかなるのか?)

 

そんなことを考えながらとりあえず今晩の宿を探すアマト。

ギルドで男たちに絡まれ決闘を受けることになっていたことなんかとっくに忘れていた・・・。



                     ★


 「おい!!新人君、こっちへ来い!!」


宿を探すアマトの前にギルドでからんできたおっさんたちがまたからんできた。


 「・・・なんだ。俺は宿を探すのに忙しいんだが・・・」


 「そんなものいらんだろ??これから俺たちと決闘して無一文で奴隷になるんだからな。」


 「ん?あぁ、そういうことか・・・なるほど」


(でも、こいつら俺がSランクだってわかってるのかな?先に出て行ったしわかるわけないか)


 「ああもーーーわかったわかった。さっさと決闘するぞおっさんたち、俺この後忙しいんだわ」


 「黙って聞いてれば言ってくれるじゃねえか。

  おいおめえら、さっさとこいつぶちのめして今日は戦利品で豪勢に行こうぜ」


おっさん共は下品に笑いながらアマトを決闘場に連れて行った・・・。

その先には自らの破滅しかないというのに・・・・・・・・・・。



                      ★


場所はかわって決闘場。

アマトはおっさんたち三人と対峙していた。


 「決闘のルールはわかっているよな。

  何方かが全員気絶もしくは戦闘不可能になったら終了だ。

  勝ったほうは敗者のすべてを手に入れる」


 「・・・・あぁ。わかってるからちゃっちゃとしてくれ」


アマトは適当に返事する。


 「そ、それではアマトVSパーティ「黒鬼ブラックオーガ」の決闘を始める。

  両者構え、開始」


仲介役を頼んだギルド員が開始の合図を出す。


その瞬間一陣の風が決闘場を駆けた。


後に残ったのは何もできず気絶したおっさんと開始前と同じ場所に突っ立ているアマトのみ。



 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


ギルドから連れてきた男は唖然として終了の合図も出さず呆けていた。


 「・・・これで終わりでいいよな?」

 「は、はい。この後こいつらを奴隷として売却した金額と所持財産すべてをギルドが責任をもってお渡しします」

 「じゃあ、俺はこれから宿探してくるから明日の朝ギルドで渡してくれ。」


そう言い残してアマトは決闘場を後にしたのだった。



                   ★


アマトは決闘場から出ると大通りの方へ歩き出した。


 「すみませーん。この辺に宿ってあります?」


アマトは大通り沿いにあった焼き鳥屋で焼き鳥を一生懸命に焼くおばさんに声をかけた。


 「はいよ。ここをまっすぐ行ったところに「安らぎの木漏れ日亭」という宿があるよ。

  料理がおいしいんだよ。それよりもおまえさん、焼き鳥はどうかね?」

 「あぁ、五本もらおうかな。それと教えてくれてありがとう」


アマトは礼を言うと焼き鳥を受け取って銀貨を一枚、おばさんに渡すと宿屋に向かった。


 「カラン、カラ~ン」


 「いらっしゃいませ~~」

 

アマトが宿屋へ入ると受付に座った小さな女の子が笑顔で出向かえてくれた。


 「こんにちは。ここに泊まりたいのだけれど、部屋は空いてるかな?」


アマトは優しく女の子にはなしかけた。


 「ちょっと待ってて。おとーさんに聞いてくるからーーー」


女の子はピューーーと中にかけていった。

ほどなくして、30歳ぐらいの男の人が手を拭きながら出てきた。


 「お待たせしてすみません。娘が迷惑をかけませんでしたか?」

 「大丈夫ですよ。娘さんはきちんと接客できてましたよ」

 「そうですか。実は今日から娘が接客すると言い出したので心配していたのですが・・よかったです。」


お父さんの後ろで胸を張っている娘さん。ほめられてとてもうれしそうにしています。


 「本日は「安らぎの木漏れ日亭」にようこそ!

  一泊朝夕食付きで銀貨3枚ですが、何泊されますか?」

 「一週間泊まれるか?」

 「もちろんです。あ、自己紹介がまだでしたね、この宿は私と妻と娘のリーファでやってるんです。妻は今夕食の食材を買い出しに行っています」


 「じゃあ、銀貨21枚でいいか。あ、それと今日の夕食はなしで頼むよ。ちょっと出かけてくるから」


支払いを済ませて宿から出ていこうとするアマトの服の裾をリーファちゃんが引っ張った。


 「ん?何だい、リーファちゃん?」

 「リーファ、ちゃんと受付できてた?おにーちゃん」

 「あぁ、ちゃんとできてたよ。リーファちゃんはいい子だね。」


そう言いながら、リーファちゃんの頭をよしよしとなでるアマト。

なでられているリーファちゃんは気持ちよさそうにしていた。


 「じゃ、行ってくるわ。夜には帰ってくるから」

 「いってらっしゃい。おにーちゃん」

 「おう。リーファちゃんもいい子にしてるんだぞ」


アマトはリーファちゃんに微笑むと宿を出て行った。


 「・・・・・・・おにーちゃん。ふふ」


宿には幸せそうに微笑むリーファちゃんとそんな娘を見つめるお父さんが残されたのだった。






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