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チートなスキル

 スライムに苦戦した後、俺は2時間ほど的に魔弓を撃ち込む特訓を1人で行っていた。

 他の2人はどうしたかというと、暇だからだと言って2人でモンスターを倒しにいってしまった。

 しかし、普通ご主人様を1人にして置いていくかね?

 まぁ2人共ちっちゃい子だからじっとできないんだろうなぁ。ダンジョンコアを子供扱いしていいのか分からんけども。

 おかげで1人寂しく特訓してるんだけど、これがすごい楽しくてあっという間に2時間経ってしまった。

 別に強がってないからね?ほんとだよ?

 何がそんなに楽しいかっていうと、自分がやればやるほど上手くなっていくのが分かるからなんだよ。

 おそらくスキルの影響なのだろう、たった2時間練習しただけで動かない的ならりんごくらいの大きさでも撃ち抜けるようになったよ。頭の上に置いてとかになると、メンタル弱いから外してしまいそうだけどね。


 「マスター、さっきから呼びかけているでありますが、反応してほしいであります~」


 クロがシロを連れて、ぷりぷり文句を言いながらこっちに向かってきた。


 「呼びかけてるって何も聞こえなかったぞ?」


 「カタログを見るであります。そのカタログにはコアであるクロと通信できる機能があるのであります」


 「そうなのか、でも聞いてないから分からんかったよ。そーいうのは先に言っといてくれよ」


 確認する為にカタログを開いてみると、クロが後ろの方のページを指指してきた。。


 「ここに何回もクロが呼んだ跡が載ってるでありますよ。」


 そのページを見て、このカタログにログ機能というのがあるのに気付くことになった。そのログを見てみると、確かに何度かクロが通信してきてるのが分かる。


 ん?クロ目標達成ってのがログに載ってるぞ?


「クロさんや、ログにこんなん出てるけど何か分かる?あと、説明されてないとこが多すぎじゃない?」


 「ごめんなさいであります。あの時は重要じゃなかったのでその時が来れば説明するつもりだったのであります。目標についての説明でありますが、この世界では1人1人に目標というのが設定されているのであります。その目標というのは個人差はもちろんありますが、簡単な物から始まって、徐々に難しくなっていく物で、それを達成するとアイテムやスキルなど何か報酬が貰えるって訳であります」


 「ふむふむ、今回は何をクリアしたんだ?」


 「達成した目標や次の目標がカタログに記載されているので、見てみるであります」


 クロにそう言われ、カタログを見ることにする。


 =======================================

 初めての戦闘に勝利  済 


 ダンジョンに冒険者を呼び込もう 未


 =======================================


 ふむ、これのことか。スライムに勝ったことにより、目標が達成されたようだな。

 

 ピコーン!


 「ん?何の音だ?」


 「ごしゅじんさまだいじょうぶ?おとなんてしないよ?」


 「マスター、それはきっと報酬を貰ったときの効果音であります」


 クロの説明と同時に、ステータスを思い浮かべた時と同じように報酬についての文字が浮かび上がってきた。


 =======================================

 報酬 称号『神と魔王』により、スキル『犠牲と救済』を会得

 また、称号『神と魔王』とジョブ『ダンジョンマスター』の連動を開始します。


『犠牲と救済』自分が倒した魔物に限り、自分の眷俗モンスターとして生まれ変わらせるか、自分のスキル等にすることを選ぶ事ができる。

=========================================


 チートスキル発現キタコレーーーー!!!

 

 まず、自分が倒した魔物が仲間に入るってことはダンジョンポイント使わなくてもモンスターが手に入るってことだから、ポイントを他に有効活用できる!


 そして、自分の倒した魔物を自分のスキルにできるとかこれが何よりチート!倒せば倒すほど強くなれるってことだよね!?


 異世界に召喚されて、勇者じゃなくてちょっとガッカリもしたけど、チートスキル貰っちゃったよ!!


 神様、ありがとう……


 「クロ、シロ!すげぇスキル覚えたぞ!!見てくれよ!」


 「ごしゅじんさますごいの?わーい、おめでとー」


 「マスター、このスキルは他の人には言わない方がいいであります。危険すぎるスキルであります」


 「え、確かにチートだとは思うけどそんなに危険なのか?」


 「危険なんてもんじゃないであります。考えてほしいでありますが、魔物なんて総数が分からないくらいにそこら辺にたくさんいるのでありますよ?それをマスターが倒すだけで仲間にできてしまうなんて、村どころか国を滅ぼすことすらできる可能性があるのでありますよ。まぁ、ダンジョンコアであるクロからするとダンジョン運営に関して美味し過ぎるありますけどな!」


 「自分が強くなれるって方に魅力を感じてたけど、そっちの方が周りからしたら危ないのか。これは俺らだけの内緒にしておこう」


 「わーい、ないしょないしょー。シロはやくおともだちがほしいなー!」


 「そうでありますな!では試しにスライムをマスターに倒してもらおうであります」


 「オッケー、オッケー!もうさっきまでの俺じゃないんだぜ?」


 こうして特訓後初めてスライムを倒すことになったのだが、まさかここまでの成果がでるとは思わなかった。


 「我が炎よ、集いて奴を焼き尽くせ!喰らえ、魔弓〈炎〉」


 きゅー


ふはははははは、もうスライムに苦戦したとか言わせないよ?

一撃で倒せちゃうんだぜ?

前のは当たらかっただけなんだ、ちょっと練習すればこれだ、もしかして俺って強いんじゃね?チートみたいなスキルも覚えた訳だし!


「って思ってるでありますね?浸ってるところに現実を見せつけるのは残酷でありますが、あれを見て欲しいであります」


「クロ、お前人の心読むのやめろよな。マジでやめてよ。あれって何だよ」


クロが指を指してるところを見ると、シロがスライム4匹に四方を囲まれているところだった。シロは足元に蟻が歩いているのを楽しげに見ていて、それに気づいた様子はない。


「おい、見てる場合じゃないよ。助けなきゃ」


「マスター、心配いらないであります。あれくらいシロ殿なら一瞬であります」


「何言ってんだ。あんな小さい子に危険な事させられっか!」


クロにそう叫び、シロの元へ駆け出そうとした瞬間にスライム4匹が一斉に四方からシロへと飛びかかった。


スライム4匹がシロに飛びかかかり、今にもぶつかるというところで、シロが、消えた。


なぜシロが消えたのかは俺には分からない。だが、覆い被さられて姿を見えなくなったとかじゃない。消えたんだ。


四方から飛びかかったスライム達は、目標であったシロが突然消えた事によりスライム達同士でぶつかってしまい、ダメージはなさそうだが、混乱しているようだ。


そりゃそうだ。俺ですら混乱しているのに、目の前にいた敵を見失ったスライム達が混乱しないはずがない。


「もぅ、おいたしちゃ“メッ”だよ?」


一瞬だった。


シロの声が聞こえたと思ったら、凄い勢いで空から何かが降ってきた。早すぎて何かは分からなかった。


凄い爆音をさせ、さっきまでスライム達がいた位置は隕石が降ってきたかのようにクレーターがあいてしまっていた。


「シロ殿、スライム相手にやりすぎでありますよ」


「クロちゃんごめんなさーい。はりきっちゃった♪」


クレーターからたたっと何もなかったかのようにシロが笑顔で駆け寄ってきた。


「えっ、今のどうなったの?」


「ごしゅじんさま、見てくれてなかったの?シロが、びゅーんってってとんで、ドーンっとスライムさんにおしおきしたのにぃ」


シロは消えたんじゃなかった。ただ、飛ぶスピードが早すぎて俺が見えなかっただけだったのだ。


ってかシロそんなに強かったのかよ……


スライム一匹倒して俺TUEEEEって、思ってたのが恥ずかしくなるわ。


「クロよ、もうちょっと俺TUEEEEさせてくれよ。上げて落とされるのつらいわ……」


「マスター、安心するであります。マスターはそのスキルでどんどん強くなるんでありますから。それに、シロ殿の強さは比べるのが間違いであるくらい別格でありますからなぁ。」


そうだ、俺にはチートスキルがあるんだ。あっという間にシロを抜いてやるからな!


「ちょろいでありますな」


「クロ、何か言ったか?」


「それより、戦闘が終わったのでそろそろスキル発動すると思うでありますよ?」


そうか、そろそろ始まるか。俺の伝説も今から始まるんだぜ。


自分の世界にまた入っていると、頭の中にファンファーレが鳴り響いた。


来ました。来ましたよスキル発動のお時間が。まずは仲間にするべきかなぁ。それとも先に強くなる為に力に変えるか。


悩むわ、でも嬉しい悩みだわ~。


そしてファンファーレが鳴り終わると同時に、目の前に青白い炎が浮かびあがり、頭の中に説明が思い浮かんだ。


眷俗にするならば、炎を吹き消せ。


自分の力とするならば、炎を体に取り込め。


迷うけども……


眷俗モンスターをまずは増やすぜぇ。最初は眷俗モンスター増やす為にここに来た訳だしな!


という訳で炎、に向かって息を吹きかけた。


すると炎は簡単に消え、卵が姿を現した。


「マスター、名前をつけて上げてください」


「スライムだよな?じゃあプリンだ」


名前をつけると、卵が光輝きだした。どうやら生まれるようだ。


「うまれるの?じゃあシロおねぇちゃんだね」


そんな可愛いシロの頭を撫でながら、生まれる様子を三人で眺めるのだった。

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