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実戦練習

いきなりだが、ようやくダンジョンへ入った俺達はダンジョン内にいたゴブリンと戦闘に入っていた。


相手が下位モンスターで有名なゴブリン2匹という事なので、戦闘経験がまだないスミスとミケに経験を積ませる為に2人だけで相手をさせている。勿論、危なくなったらすぐ助けてやれるように準備はしている。


「ギャギャ! ジャザギー」


「あ、スミス! ゴブリンがそっちに1匹行ったニャ」


「了解なのです、任せといてくれなのです。スミスの必殺技! 『ぐるぐるハンマー』を喰らうが良いのです!」


スミスはそう言うなり自分の体重よりも重いであろうハンマーを両手に持ち、その場でコマのように回転しだした。そして、その遠心力を利用してスミスへと近付いてきたゴブリンへ攻撃する。


「グギャ!?」


決着は一瞬だった。

スミスのハンマーがゴブリンの攻撃より先に当たったかと思うと、ゴブリンはダンジョンの壁へぶち当たりそのまま倒れた。


「ご主人様、やったのですよ! スミスのカッコいい所見てくれたのです!?」


スミスはぐるぐると回転したせいで目を回したのか、ふらふらとしていたが、笑顔でこちらへと駆け寄ってきた。


「あぁ、初めてなのにすごいな。必殺技まで持ってるなんてカッコいいな!」


「ふふん、鍛冶屋のおっちゃんにハンマーを貰ってからずっと考えていたのですよ。ちょっとふらふらしたけど、上手くいったのです!」


あぁ、そういえば村の鍛冶屋がドワーフであるスミスをお手伝いとして連れて行ってたんだっけか。


「マスター、どうやらミケの方もそろそろ終わりそうでありますよ」


腰に抱きつき褒めろと言わんばかりにどや顔で見上げてくるスミスの頭を撫でながら、戦闘中のミケの方へと目をやる。


「グギャギャ!!」


「へへーん、そんなへっぽこな攻撃なんてミケには当たらないのニャ!」


ミケは棍棒を持ったゴブリンの大振りな攻撃を最低限の動作で避け続けている。どうやら、ゴブリンの動きを完全に見切っているようだ。


「グギャ! グギャギャ!」


ゴブリンは攻撃が全然当たらない事に腹を立ているようで、さらに力を込めて棍棒を振り回しだした。


しかし、すでにゴブリンの攻撃を見切っているミケには当たるはずもく、避けた後は隙だらけでありミケからすると格好の的である。


「ニャニャ! 隙だらけだニャ!」


初めての戦闘とは思えない手際のよさでゴブリンの背中に回り込んだミケは手に持った短刀をゴブリンの後頭部に突き刺し、あっという間にゴブリンの息の根を止めた。


「ふふん、戦闘が初めてでもゴブリン1匹くらいなら朝飯前なのニャ」


ミケも頭を撫でて褒めてやると、両手を腰に当てえっへんとばかりに胸を張り得意気にしている。


まぁ確かに今の戦いを見ていると、ゴブリン1匹くらいじゃ2人共負ける事はないだろう。しかし、数が多くなるとどうだろう?


「2人共まだまだ余裕がありそうでありますね。しかし、時間を掛けすぎでありますな。それだと、あの数を倒せるでありますかな?」


「「え?」」


クロが指を指す先を見ると、8匹の魔物がダンジョンの奥からゆっくりとこちらへ歩いて来ていた。こちらにはまだ気付いていないようなので、先程のゴブリン達を倒している間に次の魔物がやって来ただけだろう。


「む、無理無理無理なのニャ! 1匹だと大丈夫だけど、あんな数2人でも絶対無理なのニャ!」


「そ、そうなのです! いくらなんでもあの数を2人だけなんて、とてもじゃないですが無理なのです! ご主人様達にも手伝って貰わないと無理なのです!」


顔を真っ青にした2人は俺とクロにそれぞれしがみつき、手伝ってくれと訴えてくる。俺としては流石に手伝ってやるべきだと思うんだけど、横にいる腹黒はそうじゃなかった。


「行ってこいであります」


「「え?」」


2人共予想すらしていなかったようで、固まる2人。


「良いから行ってこいであります」


にかっと素晴らしい笑顔で2人を引き離し、背中を押すクロさん。笑顔がマジ恐いっす。いや、マジで。


「そ、そんな……クロさん酷いニャ。あの数に2人だけなんて死んじゃうニャ!」


「優しいクロちゃんがこんな酷い事を言うなんて思えないのです……まさか、ご主人様!?」


いやいやいや、いつも通りのクロさんですよ!?

なんでそんな目で俺の事見てるの!? 傷付くんですけど!!


「チッ、クロの言う事が聞けないのでありますか。つべこべ言わずに行ってこいであります。死なないようにフォローくらいはしてやるのでありますよ……マスターが」


舌打ちをして早口で2人を突き放すように言い放つクロ。

だけど、まさかの俺への全振り!

あと、クロさんあなたの舌打ち恐いからやめてくれないかな!?

いつもと違うクロにおどおどしてどうして良いか分からない2人。俺からしたら平常運転のクロなのだが、まぁちょっときついと思うので俺がフォローするとしますか。


「これは2人の経験の為の練習みたいなもんだ。クロはスパルタの特訓しかできないからいつもよりもきつく感じるかもしれないが、見捨てたとかじゃないから安心しろ。危ないところは俺がフォローしてやるしな。あと、クロは俺にはいつもこんな感じだから慣れないとしんどいぞ?」


「そ、そうだったのですかニャ。ほ、ほんとに危ない時は頼むのニャ、ご主人様?」


「絶対クロちゃんに嫌われたと思ったのです。ほんとにご主人様が言わせてるのじゃないのです?」


一体俺ってどう思われてんの!?

とりあえず自分の疑いを晴らしつつ、怯えが少しなくなった2人を戦いへと向かわせる。

フォローはするけど、ちゃんと集中しないと自分達のダンジョンじゃないから死ぬんだからしっかりやってくれよ!

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