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遠足気分

さて、私は今イーレ村とデュノアの街のちょうど中間地点程にある山へやってきております。


え? なんでそんな所にやって来たのかって?

既にお分かりの方もおられるかもしれませんね。そう、クロに連れて来られたんだよ!

なんかこの辺りにダンジョンが新しくできたとかで、ちょうどダンジョンが落ち着いているからそのダンジョン行って攻略して私を強化するのでありますってね。本当はシロを連れて来たかったんだけど、自分達のダンジョンを攻略されては元も子もないという事で泣く泣くダンジョンへ置いてきた。


シロに早く会う為にも早く帰るからな!


「マスター、どこに向かって喋っているのでありますか? 気持ち悪いでありますよ……」


「おいおい、気持ち悪いとか言うなよ。これは所謂お約束ってやつだろうに……」


ちなみにダンジョンへ向かっているのは、俺とクロの他にも2人いる。いや、1人と1匹と言った方が良いのかな?


鍛冶が得意な種族であるドワーフの女の子スミスと、ネコの獣人である女の子ミケの事だ。


「ボス、そこに鉱石がある気がするのです。掘って行っても良いです?」


「……スミス、だめなのニャ。今掘っても荷物が増えて重たくなるだけなのニャ」


てな感じに俺達の後ろで楽しそうに会話しながら歩いている。


「スミス、ミケの言う通り今そんな重たそうな物を持つ訳には行かないぞ。クロがミケはお姉さんとして頑張ってくれてるな、偉いぞ」


ミケの頭をぐしゃぐしゃと撫でてやる。


「にゃあ~、くすぐったいのにゃ」


良い事をしたら褒める、これ基本ね。決してこのふさふさした毛をもふりたかっただけではないんだからね。本当だよ。


「むむむ、ミケちゃんだけずるいのです。スミスも鉱石掘るのは帰りまで我慢するので、なでなでして欲しいのです」


「仕方ないなぁ、ほら」


「はわわ、幸せなのです」


同じように頭を撫でてやると、目を細めて気持ち良さそうにしている。なんだろう、ただ普通に撫でているだけなんだろうけどな。2人共気持ち良さそうにしているのを見ると、なんかマッサージとかの才能でもあるのかとか調子に乗りそうだ。


「マスター、この子達は奴隷だったので愛されている事に飢えているのでありますよ。なので、撫でるのは止めませんが、調子に乗るようだと打ちのめすでありますよ? 物理的にも精神的にも」


怖いわ!!

調子に乗るどころか恐くてドン引きだよ! ちょっと位こちらを立ててくれてもバチは当たらないってのに、名前の通り中までどす黒いクロさんは気にもしてくれないどころか最近ちょっと扱いが酷くないですかね!?

そろそろ目覚めたくないMっ気に無理矢理目覚めさせられそうだよ!


とはいえ今日はこれからダンジョンに入るのだ、このまま変なテンションのまま入る訳にもいかないので、気を取り直してダンジョンに向かうとしよう。


しかし、キャッキャと楽しそうに歩いている2人に何か言うつもりもないので、緊張感が全くないまま山の中腹程まで歩いていると、開けた場所が見えて来た。


「マスター、どうやらこの近くみたいであります。ダンジョンの入口はそのダンジョンによって全然違うので、注意するのであります」


クロの話によると、ダンジョンはダンジョンマスターによって様々な形になるので入口もやはり様々になるという事らしく、洞窟をそのままダンジョンに使ったようなのがあったり、塔のような建造物タイプなどもあるらしい。

建造物タイプは他のダンジョンが地下にどんどん広がっていくのが多い中、上にどんどん上がっていく事が多いらしい。らしいというのは上行ったり下行ったりめちゃくちゃたものも稀にあるらしいからだ。


ちなみにうちのダンジョンは村の空き地だった場所に入口である階段があるだけです。もうすぐその場所の近くに違う街や村から行き来できるようにするゲートを作ってくれるみたいだけどね。うちのダンジョンも余裕が出たらちょっと凝った作りにしてみるべきだろうか。


さて、そんなこれからの展望を考えながらダンジョンの入口を探していたのだが……


明らかに怪しい物を発見した。


「なぁ、クロ。『あれ』って……そうだよな?」


「そうでありますな。『あれ』で間違いないかと」


俺達が『あれ』と呼んでいるのは洞窟の事なのだがその出口の所に立札があり、そこにはこう書かれていた。


『ここはダンジョンではありません』


うん、これもう間違いないよね。ダンジョンができたばっかりだからまだ入られたくないのかもしれないけど、こんなに分かりやすいのはないだろ。

だけど、あからさま過ぎて逆に罠じゃないかとも思えてくるな。うむむ……


「お2人は何を見ているのニャ?」


「むー、特に何もなさそうなのです。はっ! 何か珍しい鉱石でも埋まっているのです!?」


ん? この2人の反応はなんだ? まるでこの洞窟や立札が見えていないようだ。


「マスター、どうやらこの立札にはダンジョンを認識させない効果があるようなのであります。ダンジョンマスターとコアであるクロとマスターには効果がないようでありますが、他の人にはここにダンジョンの入口や立札がある事すら気付かないようになっているので、2人は分からないのであります」


なるほど、だからこの反応か。


「じゃあこの2人を連れて行けないのか? 認識させるにはどうしたらいいんだ?」


このまま2人共認識できないままだと入れないだろうしな。それとも、入ってしまえば大丈夫なのか?


「手を繋ぐのであります。そうすればこの子達もクロ達の影響を受けて見えるようになるであります」


それだけで大丈夫なのか。手を繋ぐだけで俺達の影響を受けるってのがどういう理屈かは分からないが、ファンタジー仕様という事でまぁ良いか。


「うにゃっ!? にゃんなのにゃ!?」


「すごいのです! 突然姿を現したのです!!」


さっきまで見えなかった物が突然出てきたらそりゃ驚くよなぁ。


さて、まだ2人が驚いてる所悪いけどさっくり攻略しちゃいますか!

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