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発見

場所はモンスター牧場の隅の方。


そこには、先程まで妖精が作った小さい森があった。


そう、先程までは小さい森があったのだ。


今は違うのかって?


うん、なくなったんだ。


なぜなら、クロの呪文の『トールサンダー』だっけ?それが当たった場所が全て丸焦げに焼けてしまったからね!


「ってな訳でそこに正座しろ、クロ!いくらなんでもこれはやり過ぎだろうが!!俺達まで危うく丸焦げだよ!あそこまで煽ったのは自分なのに、自分の声が聞こえないからってあそこまでやるか!?」


「……何がてなわけでか分からないでありますが、ちゃんと死なない程度に手加減したでありますよ」


確かに誰も死んでない。

そこで先程まで騒いでた妖精さん達はというと……


……ぴくぴく


全員丸焦げでアフロっていう漫画みたいな姿になってるけど確かになんとか生きてる。


こーいう奴らって何故かしぶといよね。


まぁあれで死なれたら煽った俺も後味が悪いから、生きといてくれてむしろ助かったんだけどさ。


「それでもな、全く関係なかった俺達にも被害が出かけただろうが!見てみろ、アキヒトさんが変わりに丸焦げになってくれなかったら俺とシロまで丸焦げになってたんだぞ!?」


そう、アキヒトがその身を犠牲にして俺たち2人を守ってくれたのだ。


その姿はまさに勇者だと言えるだろう。

もう、勇者(笑)とか言わせないぞ。


今は妖精達と同様に、全身丸焦げでアフロ姿でそこに倒れているけどね。


ぴくぴくしているから、たぶん死んではいない。


「……兄ちゃん……盾にするなんて……酷すぎ、ギャーー!」


「ふぅ……余計な手間をかけさせるなよ(君の犠牲は忘れないぞ)」


「マスター、また本音の方が出てきているでありますよ。マスターこそ自分達が助かる為にアキヒト殿を盾にするなんて非道であります。どの顔が言うのでありますか!」


「いやいやいや、それを言うならどの口が言うのかだろ?顔がって何だよ。それもうただの悪口だよね!?」


「ふたりとも!ケンカはだめっていったでしょ!!!ゆうしゃのおにいちゃんもてんごくでおこってるよ!」


「「はい、すみません」」


「……いや、死んでないから……勝手に殺さんといてや……」


なんか聞こえた気がするが、気のせいだろう。

ちっ、それにしてもクロのせいでまたシロに怒られてしまったじゃないか。


クロに文句を言うとまたシロに怒られてしまうので、八つ当たり的にに石ころを蹴っ飛ばす事にする。


おっ、あの小さい石ころでいいか。

程よい大きさの石ころを見つけたので、少しの助走と共に右足のインサイドで擦るように蹴る。


これで、カーブをかけてあのアキヒトのアフロにゴールさせてやる!


ガスっ


「いってぇー!!」


「痛いれす!?」


しかし、俺の予定とは異なり石ころは全く飛んでくれなかった。


石ころと思っていた物はその見た目とは異なり、かなりの重量があったからだ。


それに、今なんか声がしたか?


そう思い、もう一度石ころに目を向ける。

すると、ぼふんっという音と共に石ころが忍者のような服装をした妖精?が現れる。


「な、何でワタスに気付いたのれす!?アキヒト殿に教わったスキルで気配を完全に消していたはずれすから、バレるはずがないというのに!」


ええ、完全に偶然です。もしかしたらアキヒトの幸運のスキルが発動したのかもしれないな。

だけど馬鹿正直にそれを教えてやる義理はない。

こいつの話し方から察するに、丸焦げになっている連中と同じ妖精ではあるのだろう。

……であるのなら、とりあえず話を合わせておいて情報を聞き出す方が良いだろう。


「ふっ、あれで隠れていたつもりか?アキヒトすら見破った俺に死角はないわ!!」


ほれ、クロも乗ってこいよと、呆れ顔でこちらを見ているクロに視線でお前も乗ってこいと合図してやる。


「あれで隠れていたつもりでありますか?あまり我らを舐めないで欲しいものであります!ちょっと遊んでいれば出てくるかと思っていたのでふざけていたでありますが、その反応だとあのまま放置して何かしても問題はなかったかもでありますな!」


「そ、そんなバカなれす……しかし、アキヒト殿のスキルすら見破られるならばワタスのスキルなんて確かに通じないのれす……」


よし、良いぞ。

やっぱりあんな服装をしていても同じ種族だからなのか、簡単に信じたぞ。

そしてクロも何だかんだでまた、ノリノリでやってくれてるじゃん。


よし、このまま根掘り葉掘り聞いてやる。


「貴様、先程アキヒトからスキルを教わったと言っておったな?やはりそこで丸焦げになっている連中と同じ妖精族で良いのか?そして、何故隠れていた?ただ身を守る為に隠れていたのか、それとも何か企んでいたのか……隠すと自分の身の為にならんぞ?まぁ、隠したところで、俺のスキルに掛かれば隠す事などできんのだがな!」


分かるって言ってるのにちょっと聞きすぎたか?

いや、さっきまでの感じなら多少強引でも信じるはず……


「そ、そんなスキルまで持っているのれすか……さすが神様と魔王の力を両方持つ男なのれす。こうなってしまっては隠していても仕方ないのれ全てを打ち明けて協力してもらう事にするれす。実はワタス達の種族は棲みかを追われてこのダンジョンにまでやってきたのれす。そして、ワタス達を追い出した奴らがここに向かっているらしく、もしここまで来た時に挟み撃ちにできるようにワタスが息を潜めて隠れていたのれす。……って、丸焦げ?ギャー!女王様も含めてみんな丸焦げになってしまっているのれすー!!!!」


おい、今気付いたのかよ!

そんなんじゃ追っ手が来てても気付けないだろ……

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