ゲート
さて、ひとまずダンジョンに関してはこれで様子見するとして次の案件にいくか。
ここからはダンジョンの事で分からない事が出て来ては困る為、クロに横にいてもらっている。
「マスター、これをどうぞであります」
そう言って、クロに何枚かのプリントを渡された。
プリントを確認すると、スムーズに解決する為に次に来る案件がどのようなものなのか大まかに書いてある。
おぉ、さすが。クロさんできる子。
なになに?
次の人は冒険者ギルドから来た人で、イーレ村にゲートを設置したい……か。
なるほど、でもこれなんで村長じゃなくてこっちな話が来てるんだ?
まぁ、その辺は話を聞いたら分かるか。
では、次の方どうぞー
ガチャっと扉を開け、入ってくる髭を生やした男性が入ってくる。
「失礼します。先程もご挨拶をさせていただきましたが、ちゃんとお話しできるような状態ではなかった為もう一度ご挨拶させていただきます。私は冒険者ギルド本部から派遣されて参りました、リカルドと申します。実はこの村にダンジョンができたという事で、冒険者を派遣する為にゲートを設置する事が決定致しました。それに伴いこの村の村長に許可を頂きに来たのですが、まおー様に確認してくれと全く話を聞いてくれなくてですね……」
なるほど、村長の野郎めんどくさがってこっちに全部任せやがったな……
でもそのせいで、ダンジョンを作った本人であるダンジョンマスターに、攻略させる為にゲート作って冒険者どんどん送り込むぜ!許可してくれ!って言わせる事になってるぜ……
これ本来は俺に内緒で話進めないとダメなやつだろ。
リカルドさんだっけ?自分でもそれが分かって言っているからか、困ってるじゃん。
まぁ、村の為とはいえ村長が冒険者ギルドよりも俺を信頼してくれているのは分かるけどさ……
ただ、これは俺にとってはチャンスだ。
本来このような情報はダンジョン側に来る事なんかないだろう。
ダンジョンと村が協力関係にないとありえないからな。
まぁ、神様がダンジョンは儲かるって言ってたから他にもあるのかもしれないけどね?
とにかく、俺はこのチャンスに情報を少しでも多く入手しておくべきだろう。
情報さえあれば準備ができるからな。
「えーと、ゲートを作って冒険者を送り込むのってダンジョンを攻略するのが目的って事でいいんですよね?」
「冒険者の目的としましては、ダンジョンに潜りモンスターの素材やドロップ品、ダンジョン内でお金や宝を入手する事が主になります。中には、純粋に強さを求めてという者もおりますが、これは少数でしょう。そして、冒険者達にはダンジョンコアを破壊すれば強さと名声を入手できると伝わっておりますので、それを最終的な目標にしている者は多いでしょう」
え?なにそれ始めて聞いたんだけど。
あーでも、ダンジョン物だとそんな話をあったような気がするな。
中には、ダンジョンコアを壊した途端にダンジョンが崩れて一緒に埋まってしまうような物語を読んだ事もある気がするけど。
クロを側に呼び、小声で確認してみると。
「ダンジョンコアを破壊すると、そのダンジョンコアが今まで経験した物が全て開放されるのでそう言う場合もあるみたいであります。ダンジョンコアが経験して得た物によってどうなるかは変化するので何か起こるかは実際には分からないでありますが……」
ふむふむ、お金をたんまりと貯めていたらお金がざっくざくと出てきたりとかそんな感じかね。
なんとなくは理解できたので、リカルドさんに他にも質問をしてみる。
「ゲートについてなんですが、設置したゲートで自由に行き来ができるようになるって事でいいんですかね?」
「はい、ゲートさえ設置されているのであればどこのゲートにも行き来ができるようになっております。これによって、この村やダンジョンには冒険者や商人が多くやってくるでしょう」
なるほどなるほど。
やはりどこでもドア的な感じですね。
超便利じゃん!
これで、この田舎過ぎてなかなか人が来ない村にも人がたくさんやってこれるのか。
そして冒険者も多くやってきて、村もダンジョンもウハウハな訳だね?
忙しくなりそうだな!
「なるほど、そいつはいいですね。村もダンジョンも人が来ない事には意味がないですからね。それにしても、冒険者ギルドさんはそんな便利なゲートを設置して儲けはあるんです?」
「ははは、もちろん最初は多赤字ですよ。ですが、ゲートの使用料はギルドがいただきますので、設置した場所に人気があれば大儲けってな訳です。なのでこちらの方々には多いに頑張っていたただかないと。もちろん、こちらでできるような事であればお手伝いもさせていただきますよ?」
いったいいくらでそんな便利なゲートが作れるというのやら。
それにしても、そんなところまで話してくれるとは思わなかったな。
「ハハハ、なるほどこれは責任重大ですな!では是非ゲートの設置をよろしくお願いいたします」
「快く話を受けて頂いてありがとうございます。では早速ギルドマスターに報告し、準備に取り掛からせて頂きます。では、失礼致します」
「こちらこそありがとうございました。ではギルドマスターによろしくお伝えください」
がっちりと握手をし、そそくさと帰ろうとするリカルドさんをにこやかに見送っていると、クロが話しかけてきた。
「あんなに簡単に決めて良かったのでありますか?」
「え?だって村を活性化させるには人を呼ばないとダメだろ?ゲートなんてありがたいじゃないか。しかも費用はあっちで持ってくれるんだぜ?」
はぁ~
分かっていないなぁと、ため息をつきながら首を横に振るクロ。
「もちろん人は多く来るようになるであります。しかし、このダンジョンを攻略できるような冒険者が来る可能性も多くなるのでありますよ?」
あ……忘れてたわ。