拡張?それとも追加?
とりあえず急ぎの用件から順番に話を聞く事にして、それ以外の急ぎではない用件に関してはじゃんけんで順番を決めて貰う事にした。
じゃんけんで決めてくれと言った後で、異世界なんだからじゃんけんなんか知らないか?と思ったけど、どうやらこの世界は異世界から多くの人達が来ているからおかげでほとんどの人が知っているようだ。
というより、幼い時から奴隷だった子が知らないだけのようだ。今いるメンバーだとクマとミケだ。
なのですんなりとその提案は受け入れられ、今順番を決めるじゃんけん大会が行われている。
俺はというと、今牧場の小屋で木製の椅子に座ってクロと向かい合っている。
面接のようなスタイルと言えば分かりやすいかな?
1番急ぎの案件を持ってきたのがクロだったからだ。
案件が解決すると、次の人を呼ぶ事にしている。
「それでは、まず最初にクロの案件をやって貰うのであります。ミケから既に話を聞いているかもしれないでありますが、牧場で増やしていた魔物達が溢れて来てしまったのであります」
「その事なんだけど、以前確認した時はマッドラット以外の魔物はそこまで数が増えていなかったと思うんだけど、突然どうしたんだろ?」
この前ダンジョンに冒険者が攻めて来た時、マッドラット達だけを出撃させたのはマッドラットが増えすぎたのもあるけど、他の魔物達の数がまだあまり増えてなかったからって理由だったはずだ。
「理由までは分からないでありますが、冒険者達を外に追い出したところまではおかしな所はなかったと確認しているであります。なので、考えられるのはプリンが人型になれるようになった事と、アキヒト殿と契約された事。もしくはその両方が影響しているのではないかと予想できるであります」
確かに、冒険者を追い出してからだと考えられるのはその2つくらいか。特に、契約に関しては少なからず影響を与えている可能性はあるな。
「魔物は全体的に増えているのか?スライムで湿気がとか聞いた気がするけど。あれ?スライムってプリンしかいないんじゃなかったっけ?」
「はい、スライムは元々プリンのみでした。しかし、スライムと言う種族は1匹いれば分裂して数を増やす事ができるのであります。自分の体が維持できる以上の水分と魔力が体内に集まった時に分離して自分の体を維持するのでありますが、その時に新しいスライムができるのであります。プリンも成長期に進化した事により数を増やすことができるようになったのであります」
なんか分裂って聞くとスライムってアメーバみたいに感じてくるな。
ただ、単純に分裂というより増えすぎて維持できない分を分離って事で排泄してるような汚いイメージも沸いてくるけどさ。
「マスター、とりあえず理由はまた探っておくのでダンジョンを増やして魔物達を住める場所を増やしてほしいのであります。指示はクロでもできるのでありますが、ダンジョンの作成等に関してはマスターにやっていただかないとダメなのであります」
そうだな、理由ばっかり気にして対処を後回しにしてちゃダメだな。
まずはカタログを出し、現在のポイントを確認する。
**********************
なりたてダンジョンマスターLV1:紙出魔王
ダンジョンポイント:10000P
所持モンスター(名持ち):シロ(天使)・プリン(スライム)
所持モンスター(数):マッドラット(250)・ドラゴンモドキ(20)・スライム(10)・マッドドラゴン(20)・火豚(30)
ダンジョンコア :クロ(悪魔型)
次のレベルまで:10
**********************
おぉ!!いつの間にかポイントがこんなにも貯まっていたのか!
それに、レベルアップまであと少しじゃないか!
これ、ダンジョンのフロア増やしたりとかしたら上がるよね!?
そーいえばこんなに数が増えているなら、ダンジョンモンスターを増やそうっていう目標も達成しているんじゃないか?
ダンジョンを大きくするっていう目標もあったし、問題解決後に一緒に確認するとしよう。
えーと、これだけポイントが多かったら何から始めるか迷うな。
選択肢としては
・今あるフロアを拡張する
・新しくフロアを作る
のどちらかだろう。
さて、どうするかな。
ポイントの消費がどれくらいかにもよるけど、緊急時の為に残しとくかどうかでも使えるポイントが変わるしな。
えーと、ダンジョンを作るページは……あったあった。
ダンジョンフロアの追加(3F):1000ポイント
ダンジョンフロアの拡張(2段階目):2000ポイント
あれ?最初に作った時確か2フロアなのに500ポイントで済んだのに、今回は1フロアで1000ポイントか。
どんどん高くなるのは分かるけど、いきなり高くないか?
「マスター、最初はビギナー割引もあったので格安で済んだのでありますよ。ダンジョンフロアなのでちょっと高いと感じる位でありますが、ホームを作る時なんて本来は桁が違うのでありますよ
」
またしても俺の心を読んだのか、それとも顔に不満が出ていたのか分からないがクロが説明してくれた。
なるほど。
そーいえばフロアの拡張ってポイント使わないで自分達の力で拡張できないのかな?
そうすればダンジョンポイントを節約できて拡張もできるし、2度お得じゃないか!
しかし、そんな期待もクロの一言で秒殺されました。
「ダンジョンの壁は一見普通の土と変わらないように見えるでありますが、傷付けても自動的に修復される仕組みになっているのであります。なので、ポイントなしに拡張は無理なのでありますよ」
だそうです。
仕方なく、今回はフロアを1つ追加と拡張を牧場以外の2つのフロアを拡張する事にした。
残り5000ポイント残るのだが、ダンジョンの不死化がちょうど一緒だったので思わず使ってしまった。
それに伴い、ダンジョンの魔物数が一定量増えないように調節されたようだ。
これには正直助けられた。だって、調節されなかったら増える一方だからね?
フロアの拡張と追加を永遠と続けないといけないとこだった。
舞い上がって何にも考えずに使ってしまったけど、もう少しで詰むところだったじゃないか!?
危ない危ない……
だけど、これで不思議なダンジョン化計画にちょっと近づいたな。
まぁ、ダンジョン内を変えるかはまだ分からないけどさ。