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てーへんだてーへんだー

なんだなんだ?何やらドタバタ音が聞こえてきたぞ?


「た、たいへんだたいへんだたいへんだたいへんだたい、へんたいだニャー!!」


脱衣場に人影が写ったかと思うとガラガラ、ピシャーンと扉を開け放つミケ。


ちょっ、裸なんだから今入られると不味いって。

それ今最後へんたいって言ってたろ!


「キャー、いきなり入って来やんといてや!!」


気持ちは分かるよ?気持ちは分かるけどアキヒト、キャーってお前……


「男風呂に女の子が入って来るのは関心しないな、ミケ。何か急いでいたのは分かるが、中にまで入らないとダメな事なのか?」


何かある度に癒しの場であるお風呂場に入られても困るので、少し困ったように注意してやる。


「ご、こめんにゃさいご主人様。で、でもそんにゃ事言っていられにゃいくらいたいへんなのにゃ。早くご主人様も来て欲しいのにゃ」


男の裸を見て恥ずかしくなり顔を赤らめたかと思うと、怒られているのに気づき顔を真っ青にし、更には焦りの表情へと次々に変化させながらも伝えてくるミケ。


「いや、とりあえず服に着替えさせて欲しいんだけどな。それにしても、一体どうしたんだ?何がそんなに大変だって言うんだ?」


「牧場の魔物達が増えすぎて溢れて来てしまったのにゃ!クロさんがあれこれ指示を出してくれてるけど、ご主人様じゃにゃいと解決できにゃいから呼んで来て欲しいってクロさんに言われたんだにゃ。それからそれから……あぁ、もう!ご主人とにかく来たら分かるにゃ!」


なに!?

牧場のモンスターもうそんなに増えたのか!?

まだ牧場を抜いたダンジョンは一層しかできていないから、送る場所がなくなったんだろうな。

一層に関しても、繁殖力だけが売りのマッドラットの巣になっているようなものだし尚更か。


それにミケのあの反応だと、他にも何か重なって問題が起きたんだろうな。


「分かった、すぐ行く。だけど、ミケがお風呂場にいると俺達出られないからそろそろ出て行って貰えるかな?」


伝える事に必死だったからかいっこうにお風呂場から出て行ってくれないミケにそう告げると、ミケは思い出したかのように顔を真っ赤にし、先に行ってるにゃと言い残し牧場へと戻って行った。


はぁ、これでやっと出られるな。


「なんかダンジョンマスターってのも大変なんやなぁ、兄ちゃん。悩みとかあったら相談くらいは乗ったるからな?」


ハハハ、面白い冗談を言うな。

その悩みの1つがあなたなんですけどね?

しかし、それを告げるとたぶん凹むだろうから今回は黙っておくけどね。

だって、メンタルも貧弱そうだろ?


そんな訳で、俺はアキヒトに適当に相槌を打ちつつ牧場へ向かう為にさっさと着替えてお風呂を後にした。



牧場の方へと辿り着いたらそこには、おびただしい数の魔物達と多くの人達がいた。


俺の仲間である女の子達を除くと、イーレ村の村長を含めた村人達が多く来ており、それ以外にも知らない人達がいる。


そして、こちらに気付くと魔物以外は直ぐ様こちらに押し寄せる様にしてやってきた。


「あ、まおーさん!!久し振りにお会いできて光栄ずら。今日はお願いがあってやってきたずら」


ちょっと……


「ご主人様~、スライムが増えすぎて家の中が湿気だらけで大変クマ~」


ちょっと待って……


「マスター、やっと来たでありますか……いっぱいいっぱいなので手伝って欲しいであります」


押さないでくれ……


「ごしゅじんさまー、みんなのごはんがもうないよー!!」


痛い!

誰か俺の足踏んでるって。


「あなたがこのダンジョンのダンジョンマスター様でよろしいですか?私は冒険者ギルド本部から派遣されて参りました、リカルドと申します。実はこの村にダンジョンができたという事で、冒険者を派遣する為にゲートを設置する事が決定致しました。それに伴いこの村の村長に許可を頂きに来たのですが、まおー様に確認してくれと全く話を聞いてくれなくてですね……」


「ドワーフが仲間になったって聞いたんだけんど、ほんとーけ?ほんとなら、うちの工房に手伝いに来て欲しいんだけんど」


プチっ


「いい加減にしろーーー!!!!そんな一気に来られて全部聞けるはずないだろう。それに押すな押すな!順番に聞くから、まずは離れてくれ!!あと、誰だよ俺の足さっきからずっと踏んでいる奴!」


思わず切れてしまった。

だけど、そのおかげでようやくみんなが少し離れてくれた。

2名以外は……

村長、こいつまた聞こえてねぇのか……

そして足踏んでたのお前だったのか、クロ!

なんでみんな離れたのにまだ踏んでるの!?


「おいおい……君達には聞こえなかったのかな?わざとかな?それとも呆けちゃったのかな?」


「すまんすまん、離れるんじゃな……」


「すまないであります。マスターの足を踏みつけるのに集中してちゃんと聞いていなかったであります」


「失礼な!まだまだ呆けとらんわ」


村長、その耳どうなってんの!?

聞き取れない訳でなく、ただ遅れて聞こえてんの?

それとも反応がただ遅いだけなの!?


もうクロは疲れたからいいや、もう……


ようやく2人も離れてくれて、ようやく順番に話を聞くことができるようになった。


「兄ちゃん、マジで大変なんやな……」


アキヒトが驚いていたが、俺もこんな事になるとは思ってなかったよ。


この後話聞くのも疲れそうだな……


すっごい憂鬱だわ……

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