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分身VS勇者(笑)

さて、アキヒトの治療がそろそろ終わりそうなのでこちらもそろそろ戦いの準備を始めるとするか。


といっても、戦うのは自分ではなく分身なのでほとんど準備などいらない。

なので分身スキルの練習で見れなかった、アキヒトがどういう風な戦い方をするのか、どういう武器を使うのかなど装備を確認して想像する事にする。


あれ?手に持ってるの鎌?

しかも死神が持っているような大きい鎌ではなく、草刈りで使いそうなやつだ。

あれ?儀式の時剣持ってなかったっけ!?

いや、見たところまだ腰にぶら下げてるようだな。

つまり、あの剣は使わずにマッドラットはあの鎌で戦ったって事か。

これはハンデとして使ってたのか?

でも怪我するくらいなら普通、使い慣れた武器でさっさとケリをつけるよね?

という事はあの鎌がアキヒトのメインの武器ではないだろうか?


え?勇者なのに草刈りに使うような鎌で戦うの?

そりゃ勇者(笑)にもなるよ。

防具にも勇者っぽい要素は特にないしね。


「兄ちゃん、次はどいつの相手をすればいいんや?終わりなら嬉しいんやけど……」


おっと、回復が終わアキヒトが話し掛けてきた。


「アキヒトの強さを見たいんだから、残念ながらまだ終わりじゃないよ。次は俺がやるよ。と言っても、俺の分身とだけどな。」


そう言いながら先程作っておいた分身を連れてくる。


「分身?そのぬいぐるみみたいなんがちゃんと戦えるんか?そもそもさっきから動いてないけど、ちゃんと動くんか?」


「まぁその辺はさっき練習したから大丈夫だ。動いていないのも壊れているとかじゃなくて、こいつを操る時は俺が動けないから今はできてなかっただけだしな」



「さっき練習したとこなんか……まぁええわ、こっちは文句言える立場やないしな。じゃあ遠慮なくやらせて貰うで!」


「あぁ、じゃあこっちもそろそろいきますかっと」


その場に胡座をかき、分身を動かす為に分身の方へ魔力をと集中させる。

立ったままやると、分身を操っている間に倒れてしまいそうで心配だからね。

ちなみに、さっき分身を操っている間は自分が動く事はできないって言ったけど、並列思考なんかができるようになったのならできるようになるだろう。

スキルは天性の物以外は努力したら身に付くってクロが言ってたんだけど、並列思考なんかもできるようになったりするんだろうか?

おっといかんいかん、途中で違う事に気がいってしまい集中できていなかったな。

もう1度分身へと集中し直す為に目を閉じ、分身の体へ自分が入り込むように没頭する。


目を再び開けると視点が分身へと変わっていた。


おっ、成功したみたいだな。それにしても、分身を操るこの感覚はまだ慣れないな。


まぁそれは今まで使い慣れた体と全く違う体を動かすんだから仕方ないとは思う。体の作りもそもそも全然違うしな。


視点も俺の本体の膝上くらいまでしかないから、違和感を感じるんだうな。


そんな事を思いながら体をちゃんと動かせれるかどうか1つ1つ確認していく。


関節も作っていないのに、この分身は意外と小回りの効く動きができたりする。


もちろん、使う魔力によってはスピードも出せなかったりするし、始めて動かせた時もロボットのようにカクカクした動きしかできなかったけども。


よし、今回もそれなりの動きができそうだ。


「では、始めクマ!」


俺の準備が整ったのを確認し、クマが戦闘開始の合図を送る。


開始の合図を聞くと同時に、アキヒトはこちらへご自慢の脚力を使い一直線に向かってくる。


どうやら、こちらを舐めて試合開始早々に決着をつけにきたようだ。


ふふふ、舐めて貰っては困るよアキヒト君。こんな見た目だから仕方ない面もあるけど、相手の実力を見極めずそのまま突っ込んで苦しくなんて愚の骨頂だね。


俺とアキヒトとの距離は、およそ10メートルってところか。

よし、細かい所まではこの分身じゃ狙えないが、この距離なら外す事はないだろう。


アキヒトに対して真っ直ぐ向いた状態から右足を引き、半身の体勢を作る。


胸を張り姿勢を良くする。


両手を合掌するように合わせ、魔力を集める。


「今更何かやろうとしても、もう無駄やで!」


アキヒトが何か叫んでいるが無視する。


魔力を集まめたまま左手をアキヒトに向けて真っ直ぐに伸ばし固定する。


右手はアキヒトとは反対側へ真っ直ぐに引く。


徐々に両手の間に魔力が引き絞られていくのが分かる。


アキヒトから狙いがずれていないかもう一度確認し、後は右手の魔力を開放して解き放つ。


1度ど放てる最大の魔力を放った影響で、分身の体は3分の1程の大きさにまで小さくなる。


シャボン玉のように透けて見えるような魔力の矢がアキヒトに向かって勢い良く飛んでいく。


分身が放った魔力の矢は俺がスライム戦で使った『魔弓炎』とは違い、無属性だ。


分身は自分に込められた属性の魔力しか魔弓を放つ事はできない。

今回は特に属性をイメージせずに魔力を分身に注ぎこんだので、撃てるのは無属性のみなのだ。


自慢の脚力に物を言わせ、こちらに全力で突っ込んで来るアキヒト。


注ぎ込んだ3分の1もの魔力を使い、魔弓を放った分身。


お互いに初手で全力を出しきった勝負はあっという間に決着がついた。

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