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むむむ

勇者(笑)って一体なんなの!?


最弱の勇者って称号もあるから、勇者ってジョブ自体は間違いないって事?


その辺の事は本人に問いただすしかないか。


アキヒトはというと、こちらがステータスを確認していた事にすら気付かず、まだ能天気に妖精のフィオーレと喜びを分かち合っていた。


さっきまでなら一緒に喜んでやれたかもしれないけど、ちょっとむかつくな。


「おい、勇者(笑)アキヒトくん?これは一体どーいう事なのかな?」


直ぐ様怒鳴り散らしてやりたいが、自分の確認不足という面もあるので心の中に圧し殺し、無理矢理作った笑顔を顔に張り付け、アキヒトにカタログに載っているステータスをそのまま見せつけるようにして突きつける。


「どうしたんや兄ちゃん?……え?こ、これってもしかして……」


カタログに載っている自分のステータスを見て、顔を真っ青にする勇者(笑)アキヒト。


「見覚えあるよね?これ勇者の後に(笑)って付いてるけど、どーいう意味なのかな?」


「す……すんませんでしたぁぁー!!騙して契約するつもりはなかったんや信じてくれ、この通りやー」


目にも止まらぬ速さで両膝をつき、ジャパニーズ土下座スタイルで頭を何度も何度も地面につけるようにしながら謝る勇者(笑)アキヒト。

何の躊躇もなしに土下座をする勇者って……


しかも、土下座するまでの速さが今までに土下座をやりなれてるとしか思えない……


「じゃあどーいうつもりで黙ってたのかな?」


「あいつを助ける為にワイは強くならなあかんねん……でも、勇者(笑)なんて言ったら絶対契約できへんから……兄ちゃんにはホンマに悪いと思ってる、だけど絶対損はさせへん。だから、契約は解除さずにおってほしい。こっちの都合の良い事ばっかり言ってるのも、もちろん分かってる。でも兄ちゃんしか頼れる奴おらへんねん、頼む」


「私からもお願いするわ。アキヒトは本当に恋人であるイヅナを助けたいだけなの。私たちにできる事ならなんでも手伝うわ、だからどうかこのまま契約を続けてあげて」


アキヒトの胸ポケットからすっと飛び立ち、アキヒトを擁護するフィオーレ。


いくら小さいとはいえそんなところに入ってると危ないよ?

さっきの土下座で潰れてしまうかもしれなかったし。


「フィオーレ、これはワイの問題やからお前まで責任取らんでええんや」


「いいえ、アキヒトを止められなかった私にも責任はあるわ」


あれ?また俺の事置いてけぼりにして、2人の世界に入ってしまっていませんかね?


まぁいいや、その間にこっちもクロと話しておくか。


「クロはどう思う?ちなみに契約解除ってできるの?」


「契約の解除はできるであります。しかし、しない方が良いとクロは思うのであります」


ん?そのまま続けた方が良いって?


「契約を解除しても、次いつ契約できるような相手を見つけれるか分からないでありますし、今回よりも更に悪い結果になる可能性もあるであります。それに、アキヒト殿は嘘をついていなかったでありますよ、言いたくない所は言ってないってだけで。デメリットがないからって詳しく聞かなかったこちら側にも問題はあったであります。なので、こちらにメリットが少なかっただけでデメリットはないのでありますから続けるべきかと」


デメリットないから解除する必要ないって事か。

確かに次がどうなるかなんて分かりっこないしな。

でも、この勇者(笑)よりは良いと思ってしまうんだけどな。


「アキヒト殿は現在確かに弱っちいであります。だけど、勇者は勇者なのでありますから素質はあるのでありましょう。それに、あの様子では裏切られる心配はなさそうであります。それがないのが一番でありますよ」


確かにさっきまでの様子を見てると裏切られる心配はなさそうだなぁ。


騙されたって事にはイラッときたけど、それ以外では特に解除する理由はないしこのままでいいかな。


とりあえず契約を続ける上で気になるのは勇者(笑)ってのがどこまで強いのかだなぁ。


(笑)って付いてるけど、勇者は勇者だから俺より強いかもしれないよな。


ログに載っていた事を思い出すと、どうやらアキヒトを魔物のように育成して強くするって事だからどれくらい強いのかは確認しとかないとな。


まずはまだお互いを庇い合うようにしている2人に声をかける。


「お二人さん、そろそろいいかな?」


「あ、兄ちゃん悪いのは俺だけやからフィオーレは……」


「もうそれは良いから。お二人さんが自分達の世界に入っている間にこっちでもどうするか話し合いは終わったから」


「……っごく。どっちなんや?」


「よく考えればこっちには悪い事はないし、契約はそのままにしておこうと思う」


「ほ、ほんまか兄ちゃん!?ありがとーな!!」


「まだ話は終わってない、最後まで聞いてくれ」


大喜びして、また2人の世界に入られる前に更に言葉を続ける。


「アキヒト、君を強くする為にもまずは現段階の実力を知りたい」


「せ、せやな。まだ兄ちゃんはワイの実力知らんもんな。でも、お手柔らかに頼むで?」


こうしてアキヒトの実力を実際に戦ってみて判断する事になった。


弱い魔物から順番に戦わせていく事で、今の強さはどれくらいの強さなのか簡単にだが調べる事ができるだろう。


それに、あのスキルを確認するにも丁度良いだろう。

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