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へん、しん

うちのスライムはプリンという名前でも、別に体の色が黄色って訳ではない。体がプニプニしていから質感で付けただけで、体の色は青色でちょっと透けたような感じだ。


そんなプリンが今、人の形へ姿を変えようとしているのだが……


どう見ても、人の形ではない歪なものになろうとしているんだけど!?


まず、棒人間の体のような細い体をしており、そこから3本の首のような物が生え、ただ大きくて丸いだけの頭、翼のような腕、馬のように4本足がある下半身。


なにこの生物!?


ケンタウロスをさらに歪にしたような感じかな。


ただ、まだうにょうにょと体を動かしているので完成形ではなないらしい。


「クロ……人型って書いてた気がするんだけど、俺の勘違いだったかな?それとも、この世界の人型ってのはあれなのか?」


「むむぅ、あれが人型ではないのは間違いないであります。しかし、何故あのような姿になったのかはクロも分からないのであります……」


クロも分からないのか。

まさにどうしてこうなったって感じだな。

もしかして、初めての変化だから上手くいかないとか?


「プリン、ひとには3つもくびはないんだよ?そのあしはおうまさんのだしね!」


ん?

プリンがシロの話した事に対して反応している。

そして、プリンは分かったと言わんばかりにシロが言う通りに体を修正していく。


おぉ、3つの首が1つになり、馬のような4足が2足になり、どんどん人の形へ近づいてきているぞ。


プリンはスライムだから、こちらの話を理解などできる事はなかったのだが、シロの言葉を理解しているかのようだ。


シロはプリンが自分の言葉に反応してくれるのに嬉しくなり、さらに会話を続ける。


「プリンのおててはおうるちゃんみたいにしたいの?それともシロのようなおてて?あと、ちょっとせがたかいよ。シロとあそぶんだから、シロとおなじくらいにできる?」


プリンはシロの言葉を理解しているのだろう。

翼のような物から、人の手へ。

身長をシロと同じくらいに調整する。


伸ばしていた身長を低くしたおかげなのか、棒人間の様に細かった胴体部分はシロよりも少し肉付きが良いくらいになっていた。


む、胸の谷間が見えるだと!?


青く透明なのは仕方ないが、体がむっちりしたナイスなボディーな女の子の体になってきているぞ!!!


そして、当然の様に服など着ていない訳だから……やっべ! 興奮してきた!


「マスターは人型であれば、モンスターにも興奮する変態なのですね」


「だ、誰が変態だよ、失礼な。仮に変態だとしても、変態という名の紳士だよ」


「マスター、それは色々な意味で危ないのでもう黙っているであります」


怒られてしまった。

それにしてもクロは俺の世界の方の知識まであるのだろうか?


こんなやり取りをしている一方で!シロとプリンは会話?をまだ続けていた。


「プリン、つぎはあたまだね!おおきさは~もう少しちいさくかな?かおはかわいいほうがいいなぁ。シロとおはなしして、あそぶんだから、めやくちはぜったいにいるからね!」


シロの話す言葉にやはり反応するように修正していくプリン。

大きくて丸いだけだった頭も程よい大きさに修正され、輪郭を造っていく。


しかし、顔を造ろうとした時にピタリと止まってしまった。


おそらく他の要望と違い、顔は可愛くというのはプリンにとっては分からないのだろう。同じ人でさえ、感性の違いでそれぞれ違うのだから無理もない。


シロはプリンの動きを止めた理由が分からず、そのままプリンに直接聞き出そうとしている。さすがに、プリンの言いたい事は分からないだろうし俺がアドバイスしてあげた方が良いかな。


「プリン、どうしたの?え?どうしたらいいかわからない?」


だけど、シロはプリンとまるで本当に会話をしているようにプリンの言いたい事も理解できているようだった。


俺を含めてそこにいるみんなはそれが不思議でしかたなかったのだが、クロだけは不思議そうな顔ををしていなかったので聞いてみる。


「クロ、シロはプリンと意志疎通できていそうだけど、何故か分かるのか?あと、お前はそれを驚いてなさそうだけどプリンが何を言いたいかってお前にも分かるのか?」


「マスター、クロもプリンの言いたい事は分からないのであります。おそらく、シロ殿は言葉で理解しているのではなく、プリンの動きなどから言いたい事を読み取っているのであります。プリンが産まれてからずっと一緒に過ごしていたシロ殿だからこそそれができていると思うのであります」


熟年夫婦や双子なんかは会話をしなくても相手と意志疎通ができるって言うけど、それと同じような事なのだろう。


「そうだ、いいことおもいついたよプリン!いくよ?えーい!」


そう言うと、シロは突然プリンの体へと体から突っ込んだ。


何してんのシロさん!?


「シロ殿は自分を包み込ませて吸収させているみたいでありますな。人の形をプリンにもう1度教えるつもりのようであります」


魚拓ならぬ、人拓ですかシロさん。


そーいや領主ちゃんを吸収したからこそ人型へ変われるようになったはずなのに、あそこまで検討違いなのになってたんだろうな?


初めてとはいえ、あそこまで間違うか?

なんか興奮してたし、覚えてないとかなのかな?

確かにもう1回吸収した方が良いのかもしれん……


だが、しかし!!


「吸収されている側には何か悪い影響はでないのか!?」


心配なのはそこだ。後遺症とか残ったらどーすんの!?


「マスター、それは大丈夫かと。吸収は体力や魔力を吸うのですが、あの小さい領主も暴走していた状態のプリンですら大丈夫だったのです。それがあの元気が取り柄のシロ殿に影響でるはずがないのであります」


む、そういえば領主ちゃんは気絶こそしたものの、その後は怯えながらも普通に過ごしていたな。なら何かあった時には助けれるようにしながら見守るか。


見守る側があれこれ心配している間にも、プリンの吸収は進んでいく。


そして、5分くらい経っただろうか。2人にようやく変化が現れた。


プリンがシロから離れて、また体を造り始めたのだ。さっきまでの速度よりも明らかに早くなっている。


安心したのは、吸収されていたシロが少しの疲れも見せずに、プリンを見守っている事だ。


そして、プリンはさっきの変化は何だったのかというほどに細かく人の形を造りだしていく。


おぉ? 頭の部分だけ違う色になっている?

そうか、あれは髪の毛を再現しているのか!?


体は少し濃いめの青だが、髪の毛にあたる部分は薄い水色だ。

さすがに髪の毛1本1本まで細かく再現はしていないが、十分に髪の毛と分かるだろう。

髪形は肩ほどの長さで、マッシュルームカットもしくはボブカットと呼ばれるような髪形に見える。


髪の毛な感心している間に、顔も大分できあがってきている。

シロや領主ちゃんを吸収したおかげか、それとも異世界補正なのか大分整った顔をしていて、すごい可愛らしい。


そして、透き通った青い体、これが唯一スライムと分かるくらいでそれ以外は人と何らか変わらないまでになっていた。


「プリン、おわった?おはなしは……できる?わたしのなまえ、いえる?」


「し……ろ?」


シロの呼びかけに、たどたどしくも名前を呼ぶプリン。

自分の名前を呼ばれたシロはプリンへと抱きつき、大喜びした。 喜びすぎて力が入ったのか、プリンの腕が潰れてしまっていたのは内緒だ。スライムだからすぐに再生というか造り直してたので問題はなさそうだ。

それを眺めていたクマ達も自分の事のように喜び、プリン達の方へ走っていき、女子トークが始まる。

なかなかあの輪の中には入れそうにないので、少し離れてそれを見ている事にする。

それにしても良かった。

これでプリンを含めて笑顔で祝勝会だな。

もし失敗してシロが落ち込んでいると、みんな楽しむ事なんかできないからな。


「いやぁ、知能のあるモンスターまで作ってしもたか。兄ちゃんなかなかやるやないか、最近来たばっかりとは思えんなぁ」


横から知らない声に話しかけられる。

クロも引っ張って連れて行かれてたから、誰もいないはずなのだが?

そう思い横に視線をやり、確認すると眼鏡をかけた黒髪の男が座っていた。


「あの、どちら様です?」


「ワイか?ワイは勇者のアキヒトや、兄ちゃんよろしゅうな!異世界から来た者同士仲良ーしたってや!」


はぁ!?

勇者だと!?

しかも異世界から来た者同士って言ったか?

こいつが本当に異世界か来たのかは分からんが、何で初めて会った俺が異世界から来たって事まで知っているんだ!


とりあえずフレンドリーな事が唯一の救いか。

一難去ったらまた一難とはこーゆう事を言うんだなぁ。

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